2015年度活動レポート(一般公募コース)第258号
アジア5ヶ国の学生が高知の最先端技術を学ぶ
高知工科大学からの報告
2015年8月3日(月)~12日(水)にかけて、昆明理工大学(中国)、国立虎尾科技大学管理学院(台湾)、チュラロンコン大学(タイ)、モンゴル科学技術大学(モンゴル)、ヤンゴン大学(ミャンマー)から各2名ずつ計10名の学生が来訪し、高知工科大学の約20名の日本人学生とともに、本学の研究施設見学や講義、県内の研究機関の見学等を通して交流しました。これらの大学は、本学が力を入れて交流を深めていきたい大学であり、さくらサイエンスプログラムを通して招へいすることができました。
まずは、日本人学生によるオリエンテーションが行われ、アイスブレーキング、キャンパスツアーを通して緊張感を和らげた後、早速、小林弘和准教授による “Development of optical technology”の講義が行われました。その後も大内雅博教授による日本の建設技術に関する講義、大濱武教授による講義“Carbon neutral biofuel production by micro-algae and molecular genetic breeding technics to improve the productivity”に出席し、一日目が終了しました。
2日目は、お年寄りや障害を持つ人々を含む誰もが自然に使えるやさしい情報機器を作るための最先端技術を研究するCenter for Human-Engaged Computing (CHEC)、健康増進・機能回復・機能補助用ロボット等による高齢化社会において有用な安全安心なロボット開発を研究する王研究室を見学し、それらの最先端技術を体験しました。各研究室所属の外国人留学生・外国人教員に機能等を英語で説明してもらい、学生たちも興味津々に機器に触れ、効果を実感しました。
その後、渡邊法美教授による「ポスト産業資本主義社会におけるプロジェクトリスクコミュニケーションの意義」の講義を受講しました。午後は、各大学参加者による自国や大学に関するプレゼンテーションを行い、互いのバックグラウンドに関して学ぶ機会をもうけました。
3日目の午前中は、主に日本文化に関して学ぶ時間とし、国際交流センター先川信一郎特任教授による日本文化に関する講義を受けた後、日本人学生と山田高校の書道部学生による書道教室が行われました。書道体験の無い参加者も周りに助けられながら自分の名前を英語で書く等楽しみながら交流しました。
午後は、本学総合研究所地域連携機構木村良機構長による地域連携機構の説明が行われた後、グループに分かれ、脳コミュニケーション研究センタ-、ものづくり先端技術研究所、ナノテクノロジー研究センターを見学しました。
脳コミュニケーション研究センタ-では、特定の運動や感覚、認知過程に関連した脳活動領域を画像化するMRI装置の説明の後、実際に所属する学生がどのような研究を行っているのか話を伺いました。
ものづくり先端技術研究所では、魚介類を凍らせることなく冷却保存できるシャーベット状の氷「スラリーアイス」の製造装置を見学し、所属の日本人学生から仕組みについて説明を聞きました。
ナノテクノロジー研究センターでは、まず0.000 000 001の世界を知るために、機器で様々なものをナノ単位で観察しました。今まで見たことのない世界を体験し、驚きを隠せない参加者もいました。その後は、所属教員や学生に個別で質疑応答をし、理解を深めました。
学外では、高知大学海洋コア総合研究センターと四国電力本川電力センターを訪問しました。前者は、海洋コアの冷蔵・冷凍保管を始め、それらを用いた解析から応用研究までを一貫して行うことが可能な研究機関であり、スタッフが研究施設の説明を英語でして下さりました。実際にコアが保管されている冷凍庫には数え切れないほど多くのコアがあり、参加者は寒がりながらも興味津々に見せてもらっていました。実際にそれらが解析されている様子を見学し、それによりどのような研究が可能なのかをお話してもらいました。
後者には、ピーク時電力需要増加に対応するため、夜間や休日に生じる、原子力・火力発電所の余剰電力で上池に水をくみ上げておき、ピーク時に約560mの落差を利用して発電する認可出力61.5万kWの揚水発電所があり、その仕組みを説明していただきながら見学しました。
約10日間のプログラムで参加者たちは皆非常に仲良くなり、帰国を惜しみながら高知空港で別れました。参加者の中には、日本へ進学を希望するようになった学生もおり、私たちも日本の最先端技術が持つ様々な力を再確認しました。