2015年度活動レポート(一般公募コース)第256号
インドネシアの学生・院生が学んだ「農免疫」とは?
東北大学からの報告
2015年11月8日から15日までの8日間、インドネシアのボゴール農科大学、バクリー大学の学生・院生、総勢20名(いずれも、食品工学専攻)と引率教員2名をさくらサイエンスプログラムにより招聘しました。
今回の招聘の目的は、東北大学農学研究科が2015年4月に設立した「食と農免疫国際教育研究センター」(CFAI)の取り組みについて、紹介することでした。農薬や抗生物質を使用した農産物、畜産物、水産物の生産によって起こる、食と健康のリスクが社会問題になって久しく、これを解決する取り組みが急がれています。
本学でもこれまでに、薬に頼らない農畜水産物の健全育成についての研究が多くの研究室で行われてきましたが、さらに研究を発展させるために、個々の研究を統合した新しい研究領域を設立し、「農免疫」と名付けました。この農免疫を活用して得られた食品に関する研究と併せて、CFAIを設立しました。
プログラムでは、まず、東北大学の歴史、教育理念、研究理念について説明を行い、仙台市内の各キャンパスを巡回、見学しました。次に、北澤准教授(CFAI副センター長・畜産免疫ユニット)からCFAIの概略が説明され、本学の食の安全に関するこれまでの取り組みも紹介されました。続いて、高橋計介准教授(CFAI水産免疫ユニット)による、「水産生物の健全育成」についての講義を本学大学院生とともに、受講しました。
また、宮城県女川町にある、女川フィールドセンター(附属複合生態フィールド教育研究センター・複合水域生産システム部)を訪問し、木島教授より、東日本大震災の時の様子、津波対策、女川フィールドセンターでの海洋生物研究と震災復興への取り組みについて、解説があった後、研究室と研究施設を見学しました。
栄養学分野では、食の安全や機能性食品開発について研究内容が大学院生から紹介され、ディスカッションを行うと共に、研究室を訪問しました。機能分子解析学分野では、大学院生による研究内容の紹介、その後、大型機器を使用した最新の食品成分の分析法について、模擬実験を行いました。動物資源化学分野、機能形態学分野において、家畜の健全育成に関する研究の紹介と研究室見学を行いました。
最後に、閉講式とともに、日本人学生・院生と共に夕食会を開催して、お互いの交流を深めました。プログラム実施後のアンケートでは、留学を含めて再来日を希望する学生・院生が多数おりました。
本プログラムを実施するにあたり、ご協力頂きました、本学の教員、事務職員の皆様、ならびに本学の学生・大学院生に感謝いたします。また、本招聘をご支援いただきました科学技術振興機構とさくらサイエンスプログラムのスタッフの皆様に深く御礼申し上げます。