2015年度活動レポート(一般公募コース)第239号
ベトナムからエクセレントスチューデンツがやってきた(ふたたび)
北海道大学理学研究院からの報告
北海道大学理学研究院
北海道大学は、平成27年8月17~24日の期間で、チャンダイニア高校(ベトナム)から科学を専攻する10名の高校生、引率者2名、およびホーチミン市教育訓練局のThu氏を招へいしました。
北海道大学はさくらサイエンス事業のもとで昨年初めてベトナム・ハノイから高校生を招へいし、生徒たちの優秀さに大変感銘を受けました。招へいした生徒の何名かとは招へい後もSNSやメールでの交流があり、こうした成果を受けて、今年度はホーチミンの高校から招へいすることとなりました。
1日目は、歓迎レセプションを開催し、今回のプログラム実施に協力した学生スタッフ、教職員が集まり、軽食を交えて歓談しました。招へいした高校生はベトナムの民族衣装であるアオザイを来て登場し、代表の生徒が日本語で挨拶すると大変歓迎されました。
2日目は、赤平市にある植松電機の見学です。植松電機は小型ロケット開発の分野で世界に誇る技術を持ち、北海道大学ともカムイ型ロケットの共同研究を行っています。植松社長の講話に引き続き、自作ロケットの制作と打ち上げ体験、国内唯一の微小重力実験塔見学等をしました。日本語での講話通訳は、少し荷が重かったようですが、ベトナム出身の学生スタッフが活躍しました。
3、4日目は、北海道大学内のキャンパス・ツアーと模擬授業で、低温に関わるフィールドから基礎研究を展開する本学が世界に誇る低温科学研究所の見学を行いました。-50度の極低温室への入室では、これまでの人生で体験したことのない低温に皆、大興奮しました。
その後は、南北に延びる広大なキャンパスを見学しながら南下し、理学部で実験を交えた模擬授業・研究室訪問を体験しました。模擬授業は、神経生物学から天文学まで多岐にわたり、生徒それぞれの専攻するコースの興味に応じて熱心に聞くことができたようです。TAを務めた本学学生からは、特に実験に対する生徒たちの熱心さに感銘を受けたというコメントがありました。
5日目は、日本で唯一の社会科学実験を展開するための専門機関として設置された本学社会科学実験研究センターを視察した後、市内見学へでかけました。青少年科学館、開館したばかりの北海道博物館、防災センターを見学し、日本の科学コミュニケーションの様々な形式に触れ、楽しんだようです。
6、7日目は札幌開成高等学校を訪問し、科学交流をするとともに、体育館での交流、そうめん作り、茶道、書道クラブ体験を行いました。また、午後には札幌市国際プラザの仲介による市内家庭におけるホームスティをしました。日本人の生活・文化に対する高校生の知識・共感は両日で一気に深まったようです。
8日目は早朝に札幌市を出発し、東京で科学未来館の見学、実験体験を行いました。先端研究の現場である大学とは異なり、日本の科学コミュニケーションの粋を集め、先端研究を伝えることを意識した展示に魅せられたようです。
今回のプログラムでは、高校生と年齢の近い本学学生と触れ合う機会を多く設け、より日本の大学生活について身近に感じてもらうよう計画しました。その結果、派遣後も高校生たちと学生スタッフ間でSNSを通じた交流が生まれるなど、日越の将来を担う世代同志の交流が続いています。
今回の受け入れでは、大学、高校、企業、民間機関等、様々なステークホルダーの協力のもと、世界の先端を行く我が国の科学技術を伝えるとともに、日本の生活・文化に対する幅広い理解をもつ機会を高校生に提供することができました。この度の計画の実現にご支援をいただきました科学技術振興機構、植松電機、札幌開成高等学校、札幌国際プラザ、日本科学未来館のみなさま、そして通訳として全行程をアテンドいただきましたベトナム高校事情のエキスパートである後藤田明子さんに心よりお礼を申し上げます。