2015年度 活動レポート 第230号:九州大学

2015年度活動レポート(一般公募コース)第230号

アジアの若手研究者が医療イノベーションを学ぶ
九州大学第3回Japan Medical Innovation Tour

九州大学

さくらサイエンスプログラムの支援を受け、九州大学では2月14日〜2月20日に、第3回Japan Medical Innovation Tourを開催しました。アジア各国から参加者を公募し、厳正な審査によって選ばれた学生・若手研究者9名が来日しました。第3回目となった今回のツアーでは医療イノベーションを推進する日本の製薬・医療機器企業、アカデミアを中心に計8か所を訪問し、世界をリードする日本の最先端技術に触れました。

未来を担うアジアの青少年が、さらに医療イノベーション創出を担う優秀な人材として国際社会で貢献してくれることを願っています。

今回の参加者は7か国(マレーシア、インドネシア、タイ、シンガポール、ベトナム、モンゴル、台湾)の参加者の様子を、写真とともにご紹介いたします。

まず、2月15日午前中は福岡県北九州市の安川電機ロボット工場の見学からスタートしました。同社は「モートマン」に代表される産業用ロボットで世界の市場をリードしてきたトップカンパニーです。バイオメディカル向けの作業ロボットをはじめ、「ロボットがロボットを作る工場」を見学することができました。

安川電機みらい館にて
安川電機みらい館にて
臨床医の観点からも非常に興味深いと話題に(安川電機みらい館にて)
臨床医の観点からも非常に興味深いと話題に
(安川電機みらい館にて)

午後は北九州市から佐賀県鳥栖市の久光製薬鳥栖工場を訪問し、その後、九州新幹線で鹿児島に移動しました。

2月16日は鹿児島でも一部地域では雪が降っており、参加者の皆さんも驚いていました。この日は鹿児島市の新日本科学安全性研究所を訪れました。同社は1957年に日本初の前臨床試験受託機関として創業した、日本を代表する研究受託機関の一つです。

新日本科学 玄関前にて
新日本科学 玄関前にて
医薬品GLPについてディスカッション(新日本科学にて)
医薬品GLPについてディスカッション(新日本科学にて)

午前中は、同社の業務体制について説明を受けた後、医薬品開発において欠かすことのできない動物による安全性試験や規制状況についてディスカッションを行いました。

午後からは、防護衣に着替え実際に安全性試験を行っている施設内を見学しました。普段はあまり見学する機会のない施設であるため、参加者の皆さんも熱心に説明を聞いていました。見学が終わる頃には積もっていた雪もすっかり溶けており、次の目的地である東京に向かいました。

2月17日はまず、健康被害救済、承認審査、安全対策業務を担当する(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA、東京都千代田区)を訪問しました。医薬品開発は各国の法規制に則り進めることが重要です。参加者からはPMDAと厚生労働省の役割の違いや審査承認の流れについて多くの質問があり、予定時間を超えてQ&Aを実施していただきました。

PMDA受付にて
PMDA受付にて
審査承認についてのディスカッション(PMDAにて)
審査承認についてのディスカッション(PMDAにて)

次の目的地への電車に駆け込み、栃木県宇都宮市の中外製薬工業宇都宮工場を訪問しました。宇都宮工場では、中外製薬が販売しているアクテムラを製造しています。抗体を産生する細胞を徐々に増やし最終的に巨大なタンクで培養する流れや、製剤・包装工程を見学させていただきました。見学後は翌日の目的地である福島県西白河郡に向かいました。

中外製薬工業宇都宮工場にて 中外製薬工業宇都宮工場にて

2月18日、雪が降り積もる西白河郡で医療用内視鏡システムの開発・製造を行っている白河オリンパスを訪問しました。製造工程において、使用している設備の耐久を事前に確認し、部署全員が設備のメンテナンスが可能であるなど、万全の体制に驚きの声が上がっていました。また、Q&Aの時間には実際の内視鏡システムに手で触れながら、活発なディスカッションが行われました。

白河オリンパスにて
白河オリンパスにて
実際の内視鏡を使用した実演とディスカッションの様子(白河オリンパスにて)
実際の内視鏡を使用した実演とディスカッションの様子
(白河オリンパスにて)

2月19日は滋賀県草津市のニプロiMEPを訪れました。ここでは、最新の医療機器・設備を備えた研究施設を見学することができました。その際、模擬手術の様子も見せていただき、皆さん大変興味深い様子でした。

ニプロにて ニプロにて

最終日の報告会では、参加者から今後の自らの研究活動に刺激になった点、抱負などを報告していただきました。参加者の方々にとって大変有意義なツアーになったようで、運営側としても大変うれしく思います。今後も、参加者、訪問企業、九州大学との継続的なネットワークの維持発展を目指していきます。