2015年度活動レポート(一般公募コース)第221号
日中の研究者が熱いディスカッションを展開
核融合科学研究所 小林達哉さんからの報告
核融合科学研究所
さくらサイエンスプログラムにより、2016年3月2日から3月10日までの日程で、科学技術交流活動コースのプログラムを実施しました。
参加者は中国科学院等離子体物理研究所の博士学生1名でした。計画は大きく前期(3月2日から3月4日)と後期(3月5日から3月10日)に分かれていて、前期には岐阜県土岐市の核融合科学研究所にて大型ヘリカル装置Large Helical Deviceの見学と研究者を交えたworkshopを行い、後期日程では九州大学筑紫キャンパスにて、球状トカマク装置QUESTと直線磁化プラズマ装置PANTAの見学と、学生を交えたworkshopを行いました。
本計画の目的は、日中の研究情報を交換し、共同研究を加速させることでした。タイプの異なる装置の見学を通し、閉じ込めプラズマで見られる様々な物理現象の普遍的性質を議論することができました。
現在、中国では大型超伝導トカマク装置EASTが稼働し目覚ましい成果を上げていますが、本計画に含まれる「ヘリカル型」装置LHDでの定常プラズマ研究や基礎プラズマを用いた素過程の研究、球状トカマクでの研究などは依然日本がリードしており、これらを含めた計画とすることでお互いに有益な計画となりました。
また、核融合科学研究所および九州大学で行ったworkshopにより、お互いの研究情報を交換・共有することができました。また、実験家だけでなく理論家も交えた議論により、実験データの解釈やデータ解析法などを議論することができました。
それぞれの活動の詳細は次の通りです。
1. 実験装置見学
核融合科学研究所にて大型ヘリカル装置Large Helical Deviceの見学を行いました。まず制御室に於けるプラズマ放電制御システムや実験進行システムの説明を行い、その後本体室に移動し、加熱装置、計測装置、超伝導コイルシステムなどの説明を行いました。
【写真2、3】特にPANTA装置見学に於いては、主に学生が装置の説明を担当し、学生交流としての役割も果たしました。
2. Workshop
核融合科学研究所においては、参加者に加え第一線で活躍する実験研究者4名(うち1名は博士学生)、理論研究者1名とのworkshopを開催しました。内容はプラズマ閉じ込め改善現象や乱流輸送、プラズマ不安定性に関するものでした。有益なディスカッションが展開され、研究情報の交換をすることができました。
九州大学でのworkshopは一転して学生がメインとなるものでした。教員の司会のもと参加者のほか、2名の修士学生が発表を行い、白熱した議論が展開されました。お互いの研究について深く議論を行うことができました。また、国際学会などでの発表経験の少ない参加学生にとっては、将来の発表・質疑応答の良い演習となりました。