2015年度活動レポート(一般公募コース)第207号
ミャンマーの学生が、持続可能な資源循環システムを体験
北海道大学大学院工学研究院からの報告
北海道大学
さくらサイエンスプログラムによる支援を受けて、ミャンマーのマンダレー大学地質学部学生10名(学部1~2年生)、引率教員1名の合計11名を、1月10日(日)~1月18日(月)の日程で招聘しました。参加者は最初の2日間、北海道大学で集中的な講義、演習、実験を受け、引き続き、学外3つの施設を訪問し、採鉱、鉱物処理、鉱山環境に関する実操業の状況等を見聞しました。
釧路コールマインでは、海底下の炭層とその掘削状況を目の当たりにし、全員驚愕したと同時に、ガス検出器などによるモニタリングなど保安面での充実に感心したようです。
また、札幌市内のプラスティック選別センターではペットボトル等の回収およびリサイクルの状況を見学し、ミャンマーには無い施設に唖然とした様子でした。さらに、豊羽鉱山元山にある坑廃水処理施設では、高度水処理技術に感嘆していました。
海底炭鉱、リサイクル施設、坑廃水処理施設等はどれも、ミャンマーにはなく、日本の優れた技術や施設を見学することで、今後のミャンマーにおける資源開発のためには、このような技術が必要であることを実感したようです。
ちなみに、マンダレー大学は、従来は大学院大学であり、2013年から学部生の受け入れを開始したため、まだ学部生は1、2年生しかいません。したがって、本プログラムの参加者は、所属機関ではまだ基礎的な講義しか受講していないながらも、向学心が強く、どの講義や見学先施設での説明に非常に熱心に耳を傾けていました。
この姿勢には、普段学生と接することの少ない訪問施設の関係者の方々も、日本人以上に一生懸命に勉学していることを実感し、ついつい予定の時間を超過しながらも熱心に説明してくださいました。
また、学習以外でも、日本での文化体験として、定山渓温泉での宿泊、札幌市内のスキージャンプ競技場見学、ジンギスカン、すし、刺身、スープカレー等の、北海道ならではの食を堪能しました。特に、温泉は皆初めての経験であり、到着時には恥ずかしがり、誰も温泉に入ろうとしませんでしたが、朝湯では皆平気で楽しんでいました。このほか、学生全員が、今回の来日で初めて飛行機、電車、地下鉄に乗車しただけでなく、エレベータ、エスカレーターも初めての体験だったため、移動に大変時間がかかりました。しかし、帰国時にはスムーズに移動できるようになり、見聞を広めることができました。
最終日には、本プログラムの総括として報告発表会を行い、本学および各施設で習得した成果、感想等について、各参加者による発表が行われました。参加者からは、持続可能な資源工学に関する技術は、ミャンマーでは習得できないことから、「日本に留学してみたい」「将来ぜひこの知識を活かして働きたい」という感想等が多くありました。今回の経験が、日本への留学につながり、ひいては今後の日本との友好関係、協力関係の構築に発展していくことを期待します。