2015年度活動レポート(一般公募コース)第206号 (Aコース)
中国の若手研究者・学生と共に鳥取砂丘で学ぶ
鳥取大学からの報告
鳥取大学
鳥取大学では、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が実施する「さくらサイエンスプログラム」の支援を受け、平成28年2月23日から3月3日までの10日間、中国・蘭州市の中国科学院寒区旱区環境工学研究所から若手研究者・学生等10名を招へいして科学技術交流活動を実施しました。
鳥取大学と寒区旱区環境工学研究所とは、同研究所の前身である蘭州沙漠研究所との間の研究交流を1980年代に開始してからの交流の実績があることから、本プランを通じての若手研究者レベルでの交流を通じ、地球温暖化や沙漠化・土壌劣化といった地球規模での課題への対処に、国際的に連携・協調しながら貢献していくものと期待されます。
来日翌日の2月24日の午前中は、オリエンテーション及び、中島廣光教育・国際交流担当理事の表敬訪問を行いました。午後には参加者による研究発表が行われました。
25日の午前中は、乾燥地研究センター施設見学後、各参加者の研究分野に応じ、同センターの各研究室に分かれての研究交流(各研究室の研究内容の紹介、今後の協力の方向性の協議等)、午後は、鳥取砂丘の生成や社会的位置づけに係る講義に引き続いて現地視察を行ないました。
26日には、鳥取県農林水産部から同県を含む日本の農林水産業の概要についての説明を受けた後、砂丘地農業研究センター及び鳥取県園芸試験場の視察を行ない、行政機関による研究活動とその普及体制についての理解を深めました。また、山陰海岸の堆砂垣・静砂垣とこれによる沿岸地での防砂状況につき、現地の防砂対策と比較する形で視察しました。
27日には、同研究所と鳥取大学との交流プログラムを通じて派遣された鳥取大学の学生による現地での研究活動成果の発表会が行われ、別途参加した同研究所長も交えて活発な議論が行われました。
28日には、鳥取市郊外の治水施設「殿ダム」を見学、山陰地方の気象条件と河川の状況を理解しながら、治水のための取り組みについて理解しました。
29日には、各研究室ごとの研究交流・情報交換に引き続き、それまでの研修内容について中間まとめの会(ラップアップミーティング)を行い、今回の交流活動の成果や感想について参加者が発表しました。そしてその後、茨城県つくば市に移動しました。
3月1日には、環境研究所および気象研究所を訪問しました。環境研究所では、同研究所の研究員による中国での塩生植物研究についての説明後、植物体の生長実験施設を中心に施設を見学、気象研究所では、中国および日本での黄砂に関する観測・研究活動についての説明後、実験に使われる風洞施設を見学しました。
3月2日には、農業環境技術研究所および国際農林水産業研究センターを訪問しました。農業環境技術研究所では、日本に飛来する微粒子(PM2.5)についての観測・研究の成果についての講義後、同研究所が収集・展示している土壌標本につき、日本の土壌構造についての説明を受けながら視察を行ないました。また、国際農林水産業研究センターでは、同センターが取り組んでいるモンゴルでの草地改善のための取り組みについての講義を受けました。
参加者の研究分野が、沙漠化、気象、塩生植物等といった参加者の多様な研究分野に役立つようなプログラムを準備するのには不安もありましたが、参加者全員が10日間という短期間での日本滞在にもかかわらず、本活動にご協力いただいた方々の熱意と友好に感謝し、日本の社会や人々の意識、高い水準の研究活動についての理解を深め、大変満足しながら無事帰国しました。
さくらサイエンスプログラムによる今回の交流活動の成果は、本学と寒区旱区環境工学研究所との学術交流の発展のみならず、両国の友好的関係にも大きく貢献するものと確信しています。