2015年度 活動レポート 第190号:電気通信大学

2015年度活動レポート(一般公募コース)第190号

電気生理学に基づいたライフサポート技術を通じた研究交流
電気通信大学情報理工学研究科からの報告

電気通信大学

平成28年2月26日~3月6日の10日間、JSTサクラサイエンスプランの支援を受け、中国・南開大学情報制御工学院10名(大学院生9名、教員1名)を電気通信大学情報理工学研究科と脳科学ライフサポート研究センターに招へいし、電気生理学に基づいたライフサポート技術に関する研究交流を実施しました。

さくらサイエンスプログラムによる交流をきっかけに、ライフサポート技術分野における共同研究につながるため、招へい者を2グループに分けてそれぞれ筋電義手の製作と機能的電気刺激に関する脳活動計測を体験してもらいました。学生間の交流と理解を深めるため、グループ毎に対応する本学の学生担当者を決め、計16名の学生が交流活動に参加しました。

歓迎会の集合写真

短期間でスムーズに進めるため、来訪者の研究分野を考慮し、講義資料とマニューアルを事前に作成し、デモ、体験、講義、設計、製作、実験、解析、考察、発表との一連の活動を充実した計画を立てました。

デモ、体験、講義には全員が参加し、実際に筋電義手と電気刺激装置を使って見てから、電気生理学の基礎および筋電義手と機能的電気刺激について学んでもらいました。

実機デモと体験
講義の様子

その後、筋電義手グループは、2人一組で義手の形状を設計し3Dプリンターで造形しました。形状に合わせて制御プログラムを編集して、日常生活にある物体の把持実験により評価しました。

義手の形状設計

機能的電気刺激グループは、下肢への電気刺激の有無による膝関節の関節角制御の精度への影響を調べる実験を設計し、実験中の脳活動を機能的近赤外分光装置で計測しました。

毎日朝から夕方まで本学学生と交流しながら頑張ってもらい、筋電義手の製作と機能的電気刺激の実験を計画通りに完成し、電気生理学を用いたライフサポート技術に対する理解を深めることができました。最後に、研究成果と感想をまとめて一人一人に発表してもらいました。短期間にもかかわらず、発表資料が論理よく分かり易く作られて、聴講した教員と学生と活発な議論が行われました。

自作の義手を使った実験
実験について議論
電気刺激時の脳活動計測
発表会の様子

研究交流活動のほか、日本の自然・文化と科学技術を幅広く体験させるため工場見学のバスツアーも企画しました。トヨタの組み立て工場、溶接工場のロボットを使った自動化生産ラインにみんな感激しました。また、アサヒビールの製造工程を見学し丁寧な食作りと厳格な品質管理に感心しました。道中,冠雪した富士山も遠望できてその壮大さと美しさを感じられて大変良い旅となりました。

富士山を背景に記念撮影
トヨタ博物館見学

以上の交流活動を通して、招へい者が日本の科学技術と自然・文化を体験でき、双方の学生のたがいに対する理解も深められました。実施プログラムは招へい者全員に高く評価され、本学教員、研究員、学生に対して感謝の意を表すとともに、もっと長く交流できればよかったとか、今後共同研究を展開しまた日本に来たいとの感想をもらいました。