2015年度 活動レポート 第184号:東京理科大学

2015年度活動レポート(一般公募コース)第184号

北京大学の学生と光触媒について共同で研究活動を実施
東京理科大学・光触媒国際研究センター勝又健一准教授からの報告

東京理科大学

1月17日~2月5日までの20日間、科学技術振興機構(JST)の日本・アジア青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプログラム)の支援により、中国・北京大学から教員1名、大学院学生3名が野田キャンパスの東京理科大学・光触媒国際研究センターに滞在して共同研究を行いました。

本招聘プログラムは、共同研究活動コースということで、日本発の誇れる科学技術の1つである光触媒について共同で研究活動を行うことにより、光触媒の基礎的な知識から応用範囲を理解してもらうとともに、日本の最先端の科学技術や文化に触れることで、その素晴らしさを実感してもらうことを目的としております。

来校初日には、光触媒国際研究センターの見学の後、北京大学ナノ化学センター長の刘忠范先生に特別講演をしていただき、世界最先端の2次元カーボンマテリアルの研究を聴講しようと満員の会場は熱気に包まれておりました。

招待講演の様子

同日夕方には藤嶋学長やセンター関係の他、JST特別顧問の沖村憲樹先生、米山春子様ご同席のもと歓迎会を開催し、懇親を深めるだけではなく、さくらサイエンスプログラムの将来について話を伺うことができ、大変有意義な時間となりました。

翌日からは、学生それぞれが光触媒を用いた研究をスタートさせ、センターのポスドクや学生と協力し、終電近くまで実験をするなど積極的に研究活動に取り組みました。

研究内容は、刘忠范先生が世界の最先端で研究を続けているグラフェンに注目し、そのグラフェンと酸化チタンを組み合わせた材料の作製とその光触媒活性について、水分解による水素生成、二酸化炭素の光分解、水中色素の脱色を評価しました。

作製した材料の評価では、北京大学の研究室で普段使用しない実験装置を操作し、新しい経験に緊張しつつも楽しんでいる様子でした。光触媒活性の評価では、水中色素の脱色で非常に高い脱色能を示す材料の作製に成功し、今後の共同研究への足掛かりを掴めたと思います。

週末の土曜日は、お台場の日本科学未来館、横浜みなとみらいの三菱みなとみらい技術館、浅草に出かけ、日本の科学技術や文化について学ぶ機会を得ることができました。センター滞在の最終日前日には研究報告会を開催し、藤嶋学長ご同席のもと、3名の学生がセンターで行った研究成果について発表を行いました。

日本科学未来館で
センター報告会後に記念撮影

今回の交流プログラムの実施を通して、新しい研究に対して短期間での吸収力、報告会での質疑応答に対する柔軟性など中国の優秀な学生との交流を持てたことは、大きな刺激となりました。
また、招聘学生は修士・博士一貫コースの女子学生であることから、日中双方で将来的に活躍が期待される女性研究者の育成という面からも大変貴重な経験となりました。このような交流のきっかけを作って頂いたJSTさくらサイエンスプログラムに深く感謝いたします。