2015年度 活動レポート 第178号:東京農工大学

2015年度活動レポート(一般公募コース)第178号

環境問題・循環型農業について中国の研究者と共同研究
東京農工大学工学部 細見正明さんからの報告

東京農工大学

さくらサイエンスプログラムの支援により、中国科学院南京土壌研究所から7名の研究者(研究員6名、大学院生1名)が1月20日に来日し、2週間滞在しました。

1月21日および22日には、日中交流セミナーを開催し、細見研究室のスタッフおよび博士課程学生の計8名と南京土壌研究所の7名がそれぞれの研究テーマを紹介しました。日本側は環境工学関連、南京土壌研究所は農学関連のテーマでしたが、質問やコメントなどの活発な交流により、お互いの研究内容・意義などを理解しました。1月22日のセミナー後には、歓迎会が開かれました。また、当研究室が所有する最新の分析機器のデモンストレーションも行いました。

中交流セミナーには日中合わせて15名が2日間にわたり研究を紹介
交流セミナー後の歓迎会
交流セミナー後の集合写真

1月25日は当研究室と共同研究を行っている埼玉県中川水循環センター(埼玉県三郷市)に赴き、下水処理設備の見学を行い、翌日は循環型農業を実践している(株)和郷園(千葉県香取市)にて、リサイクルセンターのバイオガス発生設備や堆肥化設備を見学し、家畜の糞尿や野菜残渣などの廃棄物がどのようにしてメタンガスや堆肥となっているかを学びました。

研究室のバイオガス発生装置や温室効果ガス測定器のデモンストレーション

1月27日は東京大学において、南京土壌研究所出身の研究員とともに交流を行いました。そして翌日は茨城県土浦市に建設した実験用ハス田において、当研究室が取り組んでいる循環型農業の研究について説明しました。ハスは中国でも栽培されているため、参加者全員興味をもって聞いており、活発な議論がなされました。その後、霞ヶ浦に移動し、水環境汚染やその対策について説明を行いました。

1月29日は農業環境技術研究所(茨城県つくば市)において、農地から発生する温室効果ガス削減に関する最新の研究成果や水田の物質循環について研究員の方々に講演いただきました。農地の温室効果ガス研究に用いる研究設備も見学しました。

研究員の説明を熱心に聴く参加者ら(農業環境技術研究所)

2月1日は東京農工大学農学部に設置してある先進植物工場研究施設において、ブルーベリーの植物工場を見学しました。このような設備は中国にはないようで、南京土壌研究所の参加者は熱心に聴いていました。

2月2日は細見研究室の博士前期課程学生による研究紹介が行われました。

さくらサイエンスプログラムの支援による交流により、日本の農業における環境問題や循環型農業など技術的な情報交換ができただけでなく、日本と中国の若手研究者の交流が活発になされました。特に、農学と工学という分野を超えた交流は、お互いに刺激となりました。本交流をきっかけに、将来、農業における環境問題など学際的な分野に共同で取り組むことが大いに期待されます。

学食での交流(東京農工大)

最後に、このような貴重な機会を提供いただいた科学技術振興機構ならびに関係者の皆様に深く感謝致します。