2015年度活動レポート(一般公募コース)第161号
マカオの高校生が大阪で学んだ産学官連携
大阪大学インターナショナルカレッジからの報告
大阪大学
大阪大学インターナショナルカレッジでは、さくらサイエンスプログラムの支援を受け、平成27年11月15日~22日にマカオのPui Ching Middle SchoolとColegio de Santa Rosa de Lima Englisn Secondaryの高校生10名と引率教員1名を受け入れました。
インターナショナルカレッジ化学生物学複合メジャーコース(CBCMP)には両校からの出身者が入学・在籍しており、両校の在学生に対して大阪大学および日本の最先端科学技術をより多く知ってもらう機会を設けることを目的としました。
11月16日午前には大阪府池田市のインスタントラーメン発明記念館を見学しました。日本発の食品文化の代表例であるインスタントラーメン発明のエピソードとその後の発展の歴史、さらにはインスタントラーメンの世界的な広がりに結びつく商品開発を学びました。
午後には大阪大学総合学術博物館を見学しました。館内でマカオの高校生たちは大阪大学の歴史や大阪帝国大学から世界にはばたいた研究者の業績について説明を受けました。また、薬用資源学ラボの見学では、大阪大学に蓄積された伝統医学に関する貴重な学術標本を通して、日本の薬文化への理解を深めました。次にCBCMPを訪問し、外国人教員による模擬講義を受講しました。
17日午前には奈良国立博物館を訪問し、飛鳥時代から鎌倉時代にいたる仏教に関する貴重な美術工芸品を見学しました。日本文化に触れる絶好の機会となりました。午後には大阪市のUHA味覚糖の本社および研究所を訪問しました。日本の食品企業の最先端の研究開発の説明を受け、また、製品開発の現場の見学を通じて、食品分野における高い技術力を肌で体感しました。
18日午前には大阪大学グローバル連携担当の星野俊也理事・副学長を表敬訪問し、大阪大学の国際化や世界レベルの研究活動に関する説明を受けました。その後、工学研究科のHitz協働研究所を訪問しました。大学内での企業の立場からの産学連携研究や具体的なテーマの説明を通して、大学における基礎研究から企業への応用研究の橋渡しについて学びました。午後には工学研究科応用化学専攻において、電子顕微鏡等の最先端分析・測定機器を用いた体験実習を行いました。大学院生の指導の元、高校生自ら機器を使うことで研究への興味を持たせるとともに、大学院生との交流を通じて、大学の研究現場を感じることができました。
19日は神戸市の理化学研究所と先端医療センター研究所を訪問しました。理化学研究所では発生に関する講義を受け、その後、関連する生物を見学しました。また、細胞に関する実験を体験しました。先端医療センター研究所では再生医療に関して具体的な事例を含めた講義を受けました。再生医療の臨床研究に関する高度な内容にも関わらず、高校生にとって身近に感じるテーマであったため、講義後には活発な質疑が行われました。
20日には京都市の島津製作所創業記念博物館を訪問しました。国産最古の顕微鏡や創業初期の蓄電池、医療用X線装置などを見学するとともに、実験ラボを体験することで日本の高い科学技術力を学びました。また京都国立博物館を訪れ、日本の代表的な美術品である風神雷神図を鑑賞するなど、鎌倉時代から日本で脈々と受け継がれている美学や文化に対する造詣を深めました。
21日には大阪大学工学研究科において総括としてグループ発表を行いました。3つのグループに分かれ、多くの見学先や体験実習の感想を通じて学んだことを紹介しました。日本の産官学における優れた科学技術力を実感するとともに、日本文化にも触れることでき、大変有意義であったという発表が続きました。今回受け入れた高校生のみならず、受入れ側にとってもアジアのレベルの高い高校生との交流は良い経験となりました。このような貴重な機会をいただいたことに対し、JSTならびに関係者の皆様に深く感謝いたします。