2015年度活動レポート(一般公募コース)第151号
世界の未来を担うアジアの若きエンジニアたちの交流
サレジオ工業高等専門学校からの報告
サレジオ工業高等専門学校
サレジオ工業高等専門学校(東京都町田市)〈以下「本校」〉では、ドンボスコ・テクニカルカレッジ (フィリピン)より学生8名、泰日工業大学 (タイ)より学生2名を招へいし、2015年10月24日~31日の日程で国際交流プログラムを実施しました。
三国間の学生による「トライアングル交流」を通して、これからのエンジニアリング界を担う若き学生たちが国籍の垣根を越えて意見交換し、互いを刺激し合いながら自分たちの進む方向性を考えるきっかけを創出できるよう努めました。
今回のプログラムの特色は下記の通りです。
ア)小規模な教育施設ながらユニークな研究成果を内外に発表している本校の教育内容を紹介し、ハンズオン教育の重要性を説きました。各研究室における取り組みの見学、ロボットコンテストプロジェクトやソーラープレーンプロジェクト等に活用されている作業空間「夢工房」の見学、各担当スタッフからのレクチャーやブリーフィングを通して、小さなものづくり(職人的作業)がやがて大きな科学技術の発展につながることを説明しました。
イ)小さなものづくり(職人的作業)の集大成としての<Made in Japan>を、東芝エレベータ株式会社府中工場・山梨県立リニア見学センター等の見学を通じて実際に体感してもらい、最先端の技術について知識を深める機会を提供しました。
ウ)狂言・茶道・着付・書道等の伝統的日本文化を体験する機会を提供し、また、明治神宮・浅草寺等にも参拝することで、日本の技術革新の背景にある、長い歴史に裏打ちされた日本人の精神性に触れてもらえるよう配慮しました。また、日本語の構造についての講義も実施し、文化と密接に関わる言語の点からも日本を紹介しました。
エ)本校の校是の一つである「技術は人なり」を交流の基本に据え、3カ国の学生が互いを理解し友情を深められるような人的交流の場・時間を確保し、若きエンジニア達がこれからの人生においても継続的に刺激し合い、友好関係を保ちながら邁進できるよう配慮しました。
オ)本研修の集大成として、ミニシンポジウムを開催し、3カ国の学生によるプレゼンテーション、および日本人オーディエンスを含めたディスカッションを行い、相互理解の深化、将来のビジョンの明確化に繋げました。
今回のプログラムは、大きな希望を抱いて来日した学生のみならず、受け入れに関わった日本人学生にとってもLife-changing experienceとなったと見受けられ、その後の学業・研究への取り組み姿勢に大きな変化が見られます。
他を知ることで己を知り、己を知ることでまた他を知ることができたようですが、最終的には「技術は人なり」という貴き理解に辿り着いたようです。そのような容易には成し得ない成果を生む、非常に意義深い交流を可能にしてくれた「さくらサイエンスプログラム」には感謝しても感謝しきれません。