2015年度 活動レポート 第138号:リモート・センシング技術センター

2015年度活動レポート(一般公募コース)第138号

アジア各国の国家機関で働く農業研究者に生まれた連帯感
リモート・センシング技術センター(RESTEC)からの報告

リモート・センシング技術センター

2015年10月19日~10月28日の日程で、一般財団法人リモート・センシング技術センター(RESTEC)は、カンボジア、フィリピン、インドネシア、ラオス、マレーシア、タイ、ベトナムそして台湾の8カ国と地域から10名の国家機関で働く農業分野の研究者を招へいし、昨年度の6カ国10名の招へいを踏まえ、リモート・センシングの専門分野を特化し、さらなる研修の充実を図りました。

今年度は優秀な招へい者のスキルアップ(キャパシティ・ビルディング)プログラムとして、埼玉県内近隣大学各校の協力のもと、東京電機大学、立正大学でのリモート・センシング講座、RESTECでのリモート・センシング実習を開講し、また、大学・産業現場等での視察として城西大学での農産物を利活用した事例紹介やその生産現場である地元農家視察も行われました。

さらに大東文化大学での書道体験、地元の世界文化遺産である手漉き和紙の紙漉き体験といった異分野・異文化交流も充実させたプログラムを実施しました。

1日目:到着

2日目:オリエンテーション、都内→埼玉移動、日本歴史・文化体験(埼玉県川越市視察)、JAXA施設見学(埼玉県鳩山町)、リモート・センシング基礎講座

JAXA地球観測センターの見学
RESTEC職員によるリモート・センシング基礎講座

3日目:リモート・センシング講座(東京電機大学:鳩山町)、日本文化講義および実習(大東文化大学:東松山市)

東京電機大学でのリモート・センシング講座
大東文化大学での日本文化体験

4日目:リモート・センシング講座(立正大学:熊谷市)、異分野交流、プロジェクト視察(城西大学:坂戸市・毛呂山町)

城西大学バラ園視察
城西大学と協力している柚子農家の視察

5日目:リモート・センシング講座(東京電機大学:鳩山町)、地元自治体首長との交流会(鳩山町)、日本文化体験(和紙紙漉き体験(埼玉県ときがわ町)

東京電機大学での鳩山町町長との交流会
和紙の手漉き体験

6日目:つくば市での見学(食と農の科学館、JAXA)

7日目:日本科学未来館見学、JAXA見学(つくば市)

8日目:リモート・センシング解析実習(RESTEC)

9日目:リモート・センシング解析実習(RESTEC)、修了式、フェアウェルパーティー(RESTEC)

修了証書の授与
修了証書の授与

10日目:帰国

日本のリモート・センシング技術の一翼を担っているRESTECの強みを発揮しつつ、今回のプログラムでは、産・官・学・地域連携で構築しているネットワークを活用した科学技術交流や異分野のプロフェッショナルとの協調から地元鳩山町、埼玉県比企郡そして日本に興味を持ってもらうことも目的の一つでありました。招へい者にその意図が十二分に伝わったことが、プログラム終了時のアンケート結果やヒヤリングから明らかになりました。

例えば、次のような意見が招へい者から聞かれました。
『このプログラムは非常に網羅的です。リモート・センシングについてたくさんの重要な事項、農業分野における先進的な日本の現状、科学技術・宇宙開発といったことを体感できました。他方、わが国の農業統計の発展に、より寄与出来る方法として、実践的事例解析にもっと多くの時間を割ことを提案します。』(フィリピン)
『リモート・センシング技術のスキルアップを中心として、日本文化の体験との融和が「農業」というキーワードで繋ったことを実感した10日間でした。ASEAN各国の招へい者とこの体験を共有したことから、より一層交流が可能となるプログラムでした。個人的には日本でこの分野の修士号の取得をめざします。』(ラオス)

この様な招へい者の声をRESTEC全体が共有し、さらなるプログラムの充実を図り、もってアジアのリモート・センシング技術の発展、人材育成に寄与して参ります。

「さくらサイエンスプログラム」の多大なるご支援を賜りましたこと、また関係各位のご理解、ご協力に心より御礼申し上げます。ありがとうございました。