2015年度 活動レポート 第136号:東京大学

2015年度活動レポート(一般公募コース)第136号

「アジアの建築・都市の省エネルギー技術」の課題解決にむけて
~中国・同済大学との研究交流
東京大学工学系研究科からの報告

東京大学

アジアの建築・都市のエネルギー消費量は急激に増加しており、地球温暖化や大気汚染等の観点から、その大幅削減が世界的な課題となっています。

この課題への取組みには、個々の技術の総合化によって高性能なシステムを構築し、その最適な運用・管理の仕組みを社会実装することのできる人材が不可欠です。東京大学大学院工学系研究科では、本交流事業のテーマを「最先端に学ぶアジアの建築・都市と省エネルギー技術」とし、当該分野の優秀な人材の育成に貢献することを目的に、同済大学(中国)から7名の大学院生を招へいしました。

特別講義・研究発表、現地視察、ワークショップを効果的に組み合わせた集中的なプログラムを8日間(2015年8月18日~25日)にわたって実施し、学生同士の国際的な交流を活発にすると共に、建築・都市の省エネルギー技術についての理解と関心を深めました。

来日初日は、本プログラムのオリエンテーションを行った後、ウェルカムパーティを開催して、学生同士の親交を深めるきっかけとしました。2日目は、両大学の教員による特別講義の後、大学院生による14件の英語による研究発表を行いました。河川水による未利用エネルギー利用、太陽光発電等の再生可能エネルギー利用、ビルエネルギー管理システムを活用したコミッショニング(Cx)、ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)、潜熱蓄熱材を活用したパッシブ・デザインなどの幅広い研究について、活発な議論を行いました。

研究発表の様子

3~4日目は、近年に学会等の権威ある賞を受賞した、大林組技術研究所、虎ノ門ヒルズ、柏の葉スマートシティ、東京ガス千住テクノステーションの建築・都市設備を現地視察を行いました。現地視察では、担当の技術者から詳しい説明を受け、活発な質疑応答を通して、わが国の最先端の省エネルギー技術への理解を深めました。両大学の参加学生による研究発表(2日目)と現地視察(3~4日目)は、その後のワークショップの円滑な共同作業に極めて有効でした。

見学の様子

5~7日目(6日目は自由日)は、ワークショップを行いました。日中混成学生チーム(3名×4チーム)を構成し、「ZEB」「Cx」「Smart City」「BIPV(Building Integrated Photovoltaics)」をテーマとした学生チームによる日中共同研究の企画・立案を行いました。顔を突き合わせるような学生同士の活発なディスカッションを通じて、国内外の既往研究、共同研究の位置づけとその理由、明らかにしたい共同研究の内容、共同研究の強みと期待される成果・アウトカム、日中の役割分担などを提案・発表しました。

ワークショップでの様子
ワークショップでの様子

教員と学生による投票で優秀な企画を選定し表彰しました。このワークショップによって、英語によってディスカッションする力、研究を企画する力、研究を幅広く捉える力などが鍛えられたと感じました。翌日8日目が帰国日であったため、7日目のワークショップ後にはフェアウェルパーティを行って、本プログラムの成果と今後の継続的な交流について確認し合い、本プログラムを成功裏に終えました。

参加者の全体写真