2015年度 活動レポート 第135号:ノートルダム清心学園

2015年度活動レポート(一般公募コース)第135号

マレ-シアの学生が日本とマレーシアの森林生態の違いを学ぶ
ノートルダム清心学園 清心女子高等学校からの報告

ノートルダム清心学園

このたび、さくらサイエンスプログラムの支援を受け、マレーシアのツン・フセイン・オン大学の大学生5名および大学院生5名を招へいすることが出来ました。

本校では、地球温暖化問題について主体的に考え、自ら行動する姿勢を養うために、鳥取大学との連携により、森林生態についての専門的な講義・実習を含んだ研修を実施しています。本プログラムでは、マレーシアの女子学生を招へいし、この研修を本校生徒と共に行うことを通して、互いの協力関係を築き、森林生態系の保護並びに地球温暖化問題についての共通認識を高めることに加え、将来を担う女性研究者を育成することを目的として実施しました。

訪日1日目は、岡山県倉敷市内のホテルで、本校生徒も参加してオリエンテーションを行い、お互いの自己紹介をしました。そして訪日2日目から、岡山県真庭市蒜山にある、鳥取大学附属フィールドサイエンスセンターでの実習が始まりました。まずは森林観測用ジャングルジムに登り、温帯域の森林を見てその特徴を学び、亜熱帯であるマレーシアとの違いを確認しました。特に蒜山はブナ林が拡がっており、森林の中で一番古いブナの木を見に行きました。そして、フィールドサイエンスセンター周辺のブナ、ヤマザクラ、ミズキなど蒜山に生育する特徴的な15種類の樹木を観察しました。また、火入れ地の散策も行い、遷移前後の森林の変化についても学習しました。

森林観測用ジャングルジムに登り、観測する
オリエンテーションでの光景

さらに、森林調査法についてもレクチャーを受け、調査活動を行いました。調査場所や、測定項目、測定道具の使い方の説明を受け、ブナの天然林内を調査地とし、樹木全てにナンバリング、樹種同定を行いました。その後、樹高・樹齢を調べ、それらのデータから、樹木の平均年間二酸化炭素吸収量を算出しました。さらに、日本、マレーシア、世界の平均年間二酸化炭素排出量(1人当たり)を比較し、排出した二酸化炭素を吸収するために必要な樹木の本数、森林の面積を求めました。実際に自分たちの調査データを用いて地球温暖化における森林の役割について科学的に捉えることができ、この実習をきっかけに、森林生態系の保全や地球環境保護などについて、日本とマレーシアとの間で共通理解が得られたと感じています。

森林調査用器具のレクチャー
調査データをまとめるための作業中

蒜山での実習が終了してからは、岡山県倉敷市にある自然史博物館、並びに倉敷科学センターを訪問しました。自然史博物館は、自然と人との関わりについて理解を深めることができる博物館として知られ、館内は岡山県の化石や動植物が充実し、展示標本点数は外国産を含めて約2万点に及びます。日本の様々な生物種と、自分たちの国に生息する生物種との違いについて、とても興味深そうに見学していました。続いて訪れた倉敷科学センターは、体験を通して楽しく科学を学ぶことをコンセプトにつくられた理工系科学博物館施設です。

倉敷科学センターの訪問
倉敷科学センターの訪問

倉敷市立自然史博物館の訪問
倉敷市立自然史博物館の訪問

特に直径21メートルの大型ドーム内で視聴する宇宙劇場は、我が国の優れた研究成果と科学技術を以てつくられた最新のプラネタリウムと全天周映写装置により投影される中国地区最大級の科学シアターです。その規模の大きさに驚きながらも、招へい者全員、楽しみながら先端科学技術に触れることが出来たように思います。

招へい者全員初めての訪日でしたが、日本の科学技術、自然、生態系、気候、文化等、様々なものに触れることが出来、非常に刺激を受けたとの感想を頂きました。このような機会を与えて下さった科学技術振興機構のさくらサイエンスプログラムに厚く御礼申し上げます。