2015年度活動レポート(一般公募コース)第134号
ラオスの若手研究者と学生が、世界一の自動車産業集積地域で産業と研究を体験
名古屋大学グリーンモビリティ連携研究センター 特任講師 神本 祐樹
日本・アジア青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプログラム)の支援を受け、2015年8月20日から8月29日までの10日間、学術交流協定校であるラオス国立大学(ラオス人民民主共和国)から、若手研究者1名と大学院生1名、学部学生3名の計5名を招へいし、ピュアグリーンモビリティ材料に関する研究交流を行いました。
初日には、開講式と名古屋大学キャンパスツアー、ウェルカムパーティを実施し、開講式では、実験を補助する本学工学研究科博士前期課程の学生が自身の研究内容の紹介を行いました。
修了式では、名古屋大学グリーンモビリティ連携研究センターの市野良一副センター長から、これまでの研究や見学に関連する質疑応答と修了証の授与を行いました。
実験
主に電気化学を用いた表面処理に関連する実験を、名古屋大学大学院工学研究科の博士前期課程学生の指導によって実施した。実験によって作製したニッケルめっきやチタンの陽極酸化皮膜などは、分析装置を用いた材料の評価を行い、材料研究の一連の流れを学習した。
見学
自動車に関連する施設として、以下の施設を見学した。現在のラオス国内では見学することが出来ない自動車の組立や製鉄工場で、それらの工程を学び、輸送機産業の規模感を体感した。また、輸送機産業を支える中小企業の製品開発や製造ラインの見学から、産業構造や実際のものづくりの現場を知ることで、ラオスに必要な技術や制度について考える機会となった。トヨタ産業技術記念館では、世界最大級の企業に成長したトヨタ自動車の自動織機から自動車産業に変遷した歴史を学ぶことで、ものづくりを起こし、成長させるための原動力や支えた技術について学んだ。
国際交流
ラオス国立大学と名古屋大学の学生が実験を協働することで、互いの理解と信頼関係が構築された。実験終了後も食事や買い物に皆で出かけるなど、交流を深めた。夏祭りの時期でもあり、ラオスの若手研究者と学生が日本の文化に触れる機会にも恵まれた。
後日、ラオス国立大学を訪問した際に、本プログラムで招へいした若手研究者と学生に会う機会がありましたが、今回の来日をきっかけに日本への興味を深め、日本へ留学するための勉学と研究に励んでいるように感じられました。協働した名古屋大学の学生も、ラオスの学生等と帰国後も連絡を取り合っており、日本人学生の目を海外に向ける良い機会になったように思います。
このような貴重な機会をいただいたことに、JSTならびに関係者の皆様に深く感謝いたします。