2015年度活動レポート(一般公募コース)第116号
見学や講義で質問攻めにした学習意欲
ベトナム人大学生・大学院生・ポスドクが高エネ研で研修
素粒子原子核研究所の栗原良将講師からの報告
素粒子原子核研究所
平成27年11月15日から約2週間、茨城県つくば市にある高エネルギー加速器研究機構(以下、本機構)に、ベトナムから10名の大学生・大学院生・ポスドクを招待して、主に高エネルギー物理学をテーマに、さくらサイエンス・スクールを開催しました。
今年は、例年に比べて冬の訪れが遅く、スクールの期間中は比較的暖かい日が多かったのですが、ベトナムから初めて日本に来た学生たちにとっては生まれて初めての寒さで、最初は戸惑っている様子でしたが、スクールが始まってからは、寒さも忘れたかのようでした。
最初の一週間は、機構や東京の大学の研究者による最先端の高エネルギー物理学(及び宇宙物理学)の講義を、午前と午後に2〜3時間程度行うという、ハードなスケジュールでした。
学生たちは、講師にたくさんの質問をして、大変活発な講義となりました。講師の一人は、「少し甘い説明をすると直ちに厳しく突っ込まれるという、とても楽しい半日のlectureでした」と楽しそうにおっしゃっていました。
スクール期間中の11月20日は、ベトナムではteacher's dayということで、学生たちから講師へのプレゼントがあったりと、和やかな雰囲気でスクールを進めることができました。
二週目には、機構内の見学も行いました。本機構には、世界でも最先端の加速器(Super KEKB)や放射光施設があり、初めて見る巨大装置を興味深く見学し、ここでも説明に立った研究者の方を質問攻めにしていました。
二週目は各学生に、高エネルギー物理学や宇宙物理学に関する課題を与え、30分程度のプレゼンテーションを用意してもらい、最終日にすべての学生たちに一人30分程度で発表をしてもらいました。
後から聞くと、準備に夜遅くまで時間をかけた学生もいたようで、皆大変に素晴らしい発表をしてくれました。
本機構は、総合研究大学院大学(総研大)に参加しており、ベトナムからの留学生も学んでいますが、 参加者の中には総研大に興味を持った学生もおり、講師をしてくださった研究者の方に個別に進学について相談に行った学生もいました。
また、学生はみな本機構にある宿舎に宿泊していましたが、宿舎にはキッチンがあり、毎日夕食は自分たちで料理して一緒に食事をしていたようでした。
今回のスクールでお互いに初めて会った学生がほとんどでしたが、最後には家族のように仲良くなり、最終日には別れるのが名残惜しい様子でした。
最後になりますが、今回のスクールの準備と開催に当たって、多くの方にお世話になりました。講師・見学の説明をして下さった研究者の皆様、様々な事務手続きや航空券・ビザの手配をして下さった皆様に、心からお礼を申し上げます。