2015年度活動レポート(一般公募コース)第107号
産業活動と環境保全の調和を研修
ベトナム・ハノイから大学生が北九州の環境保全技術を学びに来ました
北九州市立大学 国際環境工学部 安井英斉教授からの報告
北九州市立大学
8月22日にベトナム国家大学ハノイ校ハノイ科学大学のLe Van Thien副教授が10名の学生を率いて来日しました。北九州市立大学は、2014年度にベトナム政府より高度人材育成事業(Project 911)の第1号として認定され、2016年度から10年に亘ってハノイ科学大学から環境科学分野の留学生を受け入れることになっています。また、日本の協力によってハノイに開設される日越大学(ベトナム国家大学ハノイ校傘下)の協力校にもなっています。本学のさくらサイエンスプログラムは、Project 911候補者や本学への私費留学希望者を短期招聘することで、これから開始していく大学院の共同教育や受け入れ研究室などにおける共同研究のマッチングと人材育成の方向を確実にすることを意図して実施しました。
ベトナムの大学は教育研究設備が不充分で座学が中心となっていることから、交流のデザインにおいては、特に本学で充実している環境分析の実験実習をプログラムに組み入れるとともに、公害を克服してアジアの環境首都を目指す北九州市の関連施設を視察に加えることで、研究と実務の融合を狙いました。また、招聘の学生はいずれも初来日となるので、初日と2日目は自然と歴史が豊かな九州北部の代表である太宰府天満宮・別府温泉・門司港レトロ地区・下関唐津市場・小倉城なども見学コースに含めました。
第3日目から6日目までは、バイオ系・環境資源系・化学プロセス系の3分野を中心に各種実験と講義の受講が本格的になりました。ベトナムの大学では受講機会が限られる実験実習では、日本人学生やベトナムの高校卒業後に本学に進学した留学生らの華麗な操作にため息がもれていました。
北九州市における基幹産業の代表である新日鐵住金株式会社八幡製鐵所の工場や2015年にオープンした水ビジネス推進のための下水処理施設ビジターセンターも見学し、産業活動と環境保全を調和させながら発展していこうとするわが国の地方都市の姿に感動を覚えたようです。
最終日の7日目には、学部生・院生による研究発表会が開催されました。いずれの学生も相手の大学の学生に感銘を与えられるよう一生懸命に事前準備していた甲斐あって、通常の学会発表以上の出来映えになりました。研究発表会後は、さくらサイエンスプログラム修了証の授与式に移り、記念撮影を行いました。
北九州には、親元を離れて心細い思いをしている留学生に、日本のお父さん・お母さんと親しまれている国際交流ボランティアの皆さんがいらっしゃいます。北九州市立大学に留学している多くの学生もお世話になっていますが、その方たちも、ボランティアと留学生による歓迎会と送別会に招待され、日本料理と各国の料理を楽しみました。
7泊8日の日程はあっという間に過ぎ、今後の留学や共同研究トピックを思い描きながら、皆さんは無事にベトナムに帰国されました。