2015年度活動レポート(一般公募コース)第87号
タイのサイエンススクール生が日本の医療・医学を体験-その1
大分大学医学部 内田智久さんからの報告
大分大学医学部
昨年に引き続き、タイのサイエンススクール13校からの高校生13名がさくらサイエンスプログラムで来日しました。招聘者はタイ全土に13校あるサイエンススクール(チュラポーンスクール12校、マヒドンウィッタヤヌソンスクール)から各校1名で、全員高校2年生です。
早速訪れた太宰府天満宮では、全員で絵馬を奉納し学業成就と今回のプロジェクトの無事を祈願しました。そして九州国立博物館では、日本の歴史を勉強し、タイの展示物もあり、日本・タイの交流の歴史の長さについても学んでくれました。
宿泊先の「陣屋の村」は昨年もお世話になりましたが、日本スタイルの宿泊施設で、畳での生活や大浴場など日本の生活習慣も学ぶことができます。
2日目は、大分大学医学部での研修でした。守山医学部長を表敬訪問し、「大分で充実した滞在となることを期待します」との言葉がありました。病院見学では、検査部、病棟、救急ヘリシステムの見学をしました。高度にオートメーション化された血液検査システムや、CT・MRI検査装置を見学し、大分大学医学部が誇るドクターヘリについて説明を受けました。実際にヘリコプターを間近で見学して、先進的な救急システムに感銘を受けたようでした。
午後は、消化器外科講座の協力により、外科医になりきって糸結び実習と腸管縫合実習を行いました。消化器外科の現役の中堅医師が講師として指導に当たりました。外科の手術着に着替え清潔操作を体験した上で、糸結びの実習を行いました。外科手術の基礎となる糸結びですが、一見簡単に見えるものの実際やってみると難しいものです。外科医から丁寧な指導を受け、なんとか糸結びができるようになりました。それを応用して、ゴムチューブを用いて腸管縫合実習を行いました。どのグループもなんとか縫合が成功したようでした。
場所を移して、次に腹腔鏡技術支援サポートシステムの体験を行いました。これは、腹腔鏡技術を効率的に学ぶためのシステムで、福岡工業大学の徳安教授のグループとの共同開発事業として行われています。腹腔鏡手術は、モニターを見ながら各種デバイスを操作して縫合、止血などを行いますが、奥行きをモニター上で把握する事が難しくトレーニングが必要です。今回開発が進んでいるこの腹腔鏡技術支援サポートシステムでは、デバイスが正しく操作できるようにロボット工学の技術を用いて、動きをサポートするシステムで、腹腔鏡操作トレーニングが格段に効率化する可能性を秘めています。タイの高校生たちも、開発中の最先端の器械を見るのは初めてで、非常に興味を持って体験してくれました。会の最後には、消化器外科の猪股教授から挨拶を頂きました。(その2に続く)