2015年度 活動レポート 第74号:立命館慶祥高等学校(2)

2015年度活動レポート(一般公募コース)第74号

紅葉の美しい森林で、持続可能な森林運営を学ぶ
日本の科学技術に触れ視野を広めたシンガポールの高校生たち②
立命館慶祥高等学校からの報告

立命館慶祥高等学校

10月10日(土):旭山動物園にて動物行動学の学習と十勝岳での火山観察

動物の行動展示で有名な旭山動物園を見学しました。生徒達はオランウータンやシロクマの行動に興味津々でした。学芸員の佐賀真一さんに講義を行っていただき、旭山動物園がオランウータンや象の絶滅を防ぐために、ボルネオ島の環境を守る活動を国際的な協力の中で行っている様子を紹介していただきました。森林保全の大切さを強く感じる意義深い内容でした。

北海道内の研修に参加したNJC生徒と立命館慶祥生徒。(2015.10.10)

午後は早めに次の研修地である富良野へ向かいました。途中、日本の火山と防災の状況を見学するために、青い池と十勝岳望岳台に立ち寄りました。青い池は防災のために作った堰堤に、美瑛川特有の青い水が溜まり、幻想的な風景を作り出しているところです。十勝岳望岳台では、噴煙の吹き出る様子や、足もとの火成岩を観察しました。火山はもちろん、山のないシンガポールの生徒にとって、とても貴重な経験であったようです。

ホテルへ戻り、夕食後、翌日の東京大学北海道演習林での事前学習として、3つの班に分かれ「持続可能な社会で森林の活用はどうあるべきか」をテーマに、高校生による提言をまとめた。各自が事前に調べてきた内容を交換し、自分達の班のテーマを決め、それが必要な理由、そのメリット、デメリット、デメリットの解決法についてまとめるというもので、翌日の東京大学北海道演習林にて、各班で発表するということもあり、夜10時30分頃まで頑張って準備を行いました。

「持続可能な社会における森林の活用について」身近な事例を持ち寄って討論し、
翌日の発表の準備をするNJC生徒と立命館慶祥生徒。(2015.10.10)

10月11日(日):東京大学北海道演習林にて研修

東京大学北海道演習林にて森林の持続可能性をテーマに研修を行いました。最初に鎌田直人 林長から講義を行っていただきました。演習林内の木々の説明から始まり、森林の世代交代、自然林と人工林、林分施業法という択伐が北海道においては適していることや、間伐は冬の時期に行うことが良いこと等、興味深い話をしていただきました。

森林内の樹木や生態系の説明を受ける。(2015.10.11)

その後、鎌田 林長に加え、尾張敏章先生、福井大先生の3名により、森林内を案内いただき、自然林と人工林の様子の違いを観察しました。人工林の方が、光がよく通る明るい林で、枯れた木々等がないことを実感しました。紅葉が最も美しいタイミングでの森林観察であったため、季節の違いが少ないシンガポールの生徒にとって、日本の四季を感じてもらえる良い機会となりました。

昼食の後、前夜遅くまで準備したグループ毎の発表を行いました。各グループの発表について、3名の先生方から質問やアドバイスを多くいただきました。最後の講評において、鎌田先生から「森林は生活に深く関わっていて、今日の研修が今後、森林に直接関わらない研究を行う人にとっても、活かされるでしょう。今後の学習や研究の中で、一方向からのみの考察ではなく、多面的に物事を見ることが重要だということを覚えておいてください」と意義深いお言葉をいただきました。