2015年度活動レポート(一般公募コース)第72号
中国・内モンゴルの学生が食の安全・安心について学ぶために来日
神戸大学農学研究科からの報告
神戸大学
9月24日~10月3日の日程で、さくらサイエンスプログラムにより 内蒙古農業大学の学生10名(獣医学研究科修士2名、獣医学部6名、動物科学部2名)と引率の講師1名を招へいしました。テーマは「人や動物の健康を支える生命科学ならびに食品の安全・安心に関する先端の知識や技術を学び、より高度な研究・教育に向けての目的意識を持つこと」で、関連の講義、施設見学を行いました。
講義は、牛海綿状脳症をはじめとするプリオン病、我が国における食中毒の現状、先端の栄養科学、遺伝子解析による牛肉鑑別、最先端の受精科学などについて、それぞれ専門の教授数名が行い、いずれもプログラム実施後のアンケートでは好評でした。
まず、先端食品加工施設を見学する目的で、伊藤ハム西宮工場を訪問し、衛生面ならびに異物混入に最大限の注意が払われていることを学びました。
また、日本最高品質の和牛の神戸牛の生産現場である本学食資源教育研究センターを見学し、生産管理ならびに口蹄疫に関する清浄国の危機意識と対策について学び、同時に神戸牛(但馬牛)種牛の管理を一元的に行っている兵庫県農林水産技術総合センター研究主幹の方から歴史から食味にいたるまでを説明していただきました。
さらに本学においては最新のマウス、ラットなどの実験動物施設見学も行い、世界最先端の研究を体験し、感嘆の声があがりました。動物展示についても学び、神戸市立王子動物園および神戸市立須磨海浜水族園を見学し、両園においては、一般公開部分のみでなく、バックヤードも見学し、専門家にも講義していただきました。参加者のほとんどは獣医学生であったため、大いに参考になったようです。特に内蒙古にはない海生生物を見るのは初めてだったらしく、興奮した様子でした。ほかに、子供たちへの科学啓蒙施設である神戸市青少年科学館見学も好評でした。
実施後のアンケートでは、参加者の全員がテーマに掲げた目標を達成できたとしており、いずれも日本への留学を希望しています。参加学生は皆、来日が今回初めてであり、聞きしに勝る日本文化に一同驚愕の様子でした。まず、街がきれいであること、人が親切で礼儀正しいこと、忘れ物がなくならないこと、公共の場が静かなこと、時間に厳密なことなどでした。来日前は信じていなかったそうで、日本に対する印象が一変したとのことです。併せて今回のテーマである食の安全・安心に対する日本人の意識の所以が理解できたとのことでした。本学事業が成功裡に終えたことを安堵しています。