2015年度活動レポート(一般公募コース)第59号
実り多かった研修の締めくくりを発表
インドネシアの学生10名が日本で環境技術を学ぶ(その3)
中央大学理工学部からの報告
中央大学理工学部
7日目午前中は江戸東京博物館を訪問しました。その日は特別展「徳川の城~天守と御殿~」が開催されており、学生たちは城の模型や設計図を興味深げに眺めていました。日本の歴史になじみのないインドネシアの学生には、少し難しかったかもしれません。常設展では、江戸時代の上水道、下水道を中心に展示を回りました。江戸時代にしっかりとした上下水道のシステムが構築されていたことに驚くと共に、木樋や井戸の精巧な造りに大変興味があるようでした。特に、下水では屎尿を当時は農家に販売していたことや、家庭雑排水は屎尿とは分離して、個別に集水して放流するシステムを見て、当時の持続可能な社会に関心を寄せていました。
午後は日本科学未来館を訪問しました。日本と言えばテクノロジーのイメージがあるようで、ロボットやデジタル技術などを興味深く眺めていました。ある学生は、日本科学未来館のシンボルでもあるジオ・コスモスを見て、「日本とインドネシアは近いですね」とつぶやいていました。
8日目は共同作業を行いましたが、すでにチームワークも生まれ、ディスカッションも弾んでいるようでした。ただし、弾んだディスカッションをまとめるのが難しいようで、発表までの時間に一生懸命にプレゼン資料を作る様子が見られました。
15時からは発表会を開催しました。副学長・理工学部 加藤俊一教授、土木研究所の對馬様、金子様、チューターとしてサポートしてきた理工学研究科博士後期課程の丁青さん、Herto先生と山村先生が採点者として、各チームのプレゼンテーションを10点満点で評価しました。
各チームとも非常に良く練られた発表で、日本人学生も含む全員が英語で発表し、質疑応答を行いました。Aチームは寸劇を取り入れて浄水処理についてわかりやすく説明しました。Bチームは、年代ごとに詳しいアクションプランを提示すると共に、具体的な数字を持って水環境保全の改善について発表しました。Cチームは、日本とインドネシアの環境の違いをわかりやすく説明すると共に、インドネシアの下水処理に関わる問題点とその解決方法について多面的に議論していました。最後に加藤副学長からは、「全てのチームがすばらしい発表でした。分散型システムもインドネシアには役に立つと思います。今後もがんばってください」と講評がありました。
最終発表会の後に大学内でFarewell Partyを開催しました。既に日本とインドネシアの学生との間で強い絆が生まれており、お互いが相手の言語で簡単な会話を交わす等、楽しい時を過ごしました。最終発表会で最も得点の高かったCチームには、加藤副学長から賞状と賞品の贈呈がありました。会の後半にはインドネシアの学生から日本語での歌声に乗せて、日本滞在中に撮った写真を上映してくれました。皆、それらの写真をみながら、8日間の楽しい日々を思い返しました。
また、3日目に披露してくれたインドネシアの伝統的な曲とAKB48の曲をギター演奏と共に再度披露してくれました。最後に、さくらサイエンスプログラムの修了証を全員に手渡して、会を終了しました。最後まで日本とインドネシアの学生が別れを惜しんで、再会を互いに約束していました。
最終日、一行は羽田空港より無事帰国しました。終わってみれば短い期間ではありましたが、中大生とバンドン工科大学の学生がお互いの環境技術、生活、食文化等において交流が深まり、科学技術の分野で日本の青少年と交流するというさくらサイエンスプログラムの目的にかなったプログラムになったと思います。