2015年度活動レポート(一般公募コース)第53号
水管理技術などの研究内容を研修
ベトナムの研究者・学生が日本の環境技術に触れる
大阪府立大学現代システム科学域
さくらサイエンスプログラムの支援を受けて、ベトナム国家大学ホーチミン自然科学大学から研究者4名、大学院生2名、学部生4名の計10名を招聘し、2015年7月29日から8月7日の10日間に学術・文化交流を行いました。
1日目は奈良県にある奈良国立博物館や東大寺にて、日本の文化財とその保存技術を見学しました。ホーチミンから大阪へのフライト時間が深夜だったため、研修生はやや疲労していたようです。また、初めて感じる日本の暑さにとても驚いていました。
2日目は遠藤崇浩准教授から日本の水管理政策に関する講義を受けました。午後には本学の植物工場研究センターを訪問し、完全人工光型の栽培方法などを学びました。また、黒田桂菜助教からメタンガス発酵に関する講義・設備解説を受けるとともに、ベトナムから来ている留学生からは研究内容についての説明も受けました。
3日目は福田珠己教授から京都府にて京都タワーや京都駅などにまつわる景観問題を学びました。また、歴史と文化が残る地が、観光地としての景観形成や施策をいかに行っていくべきかということを、実際にまちを歩きながら学びました。夏休みなので大勢の観光客がおり、彼らと地元とのかかわり合いなどを考える良い機会となりました。
4日目は竹中規訓教授からバイオディーゼル燃料に関する講義を受けた後、サラダオイルからバイオディーゼル燃料の精製実験を行いました。精製した燃料を用いて発電機を動かし、副生成物のグリセリンで燃料電池も使って扇風機を動かしました。
5日目は科学に関する興味をより高めるために、大阪市立科学館の見学を行いました。全ての行程を本学3回生がマネジメントし、午後からは海遊館にて生物多様性とその生息環境を学び、大阪のまちを歩きながら交流を深めました。
6日目は興津健二准教授による水処理に関する実験と興津研究室の見学を行いました。また、前田泰昭研究室と竹中規訓研究室の見学も行い、各研究室の学生から研究設備と研究内容の解説を受けました。どの研究室にも留学生がおり、本学への留学についての話を聞くこともできました。
7日目は宮脇幸生教授とともに国立民族学博物館へ行き、各国、特に東南アジア諸国の民族と環境との関わり方について学びました。環境技術だけを発達させるのではなく、歴史や文化的背景を踏まえた発展を目指すことについて、民俗学の視点から考えました。
8日目には環境分析や環境インフラの維持管理を専門とする滋賀県の株式会社日吉を訪問しました。株式会社日吉はベトナムでもプロジェクトを実施しており、研修生は最先端の分析技術・設備を興味深く見学しました。
帰国前日の9日目は学長からの修了証授与を行いました。また、在大阪ベトナム社会主義共和国総領事による学長の表敬訪問のタイミングと重なり、研修生は総領事から激励を賜りました。研修生はベトナム伝統のアオザイとスーツに身をつつみ、研修の総括にふさわしい場となりました。
短い期間ではありましたが、人と技術の交流の両面において有意義なプログラムを実施することができました。このような貴重な機会を与えていただいたJST、およびプログラムにご協力いただいた全ての方に心から感謝申し上げます。