2015年度活動レポート(一般公募コース)第32号
第10回創造性の育成塾・JSTさくらサイエンスプログラム 報告書(2)
富士山五合目・自然観察~ 開成中学・高等学校・宮本一弘先生の実験
創造性の育成塾
日時:2015年8月4日(火)
場所:富士山五合目/一般社団法人 人材開発センター富士研究所 富士Calm
夏合宿4日目。連日の疲労を感じさせない賑やかな雰囲気で、富士山五合目に到着しました。 今日は例年にない好天で、約3kmの遊歩道を6班に分かれて歩きました。塾生たちのメモ帳はガイドの解説だけでなく、道端の植物の特徴や岩石のスケッチなど、多くの内容で埋まりました。前日の富士山ガイドの講義で教わったイタドリやルリハムシを見つけては、熱心に写真を撮ったり、風向きや雪により植物の生え方が変わるなど、説明に聴き入っていました。
目に映るもの全てに興味を示す塾生たちには、午前中の散策時間は短い様子でした。有馬塾長の、日本の文化のひとつでもある「温泉」に入って疲れを癒しなさい、というお心遣いから、アジアの参加者たちは「ふじやま温泉」へ向かいました。中国の参加者も、自国の温泉とは違う日本の温泉に興味津々で楽しんでいたようです。
温泉でリフレッシュした塾生たちは、制服に着替えて、続く講義・実験を受けました。開成中学・高等学校で化学を教える宮本一弘先生の指導により、「水の電気分解と酸とアルカリの中和反応」をテーマに実験を行いました。実験で使うのは、醤油さしとゼムクリップ。試薬として使うのは、なすの漬物などに使うミョウバンです。
まずは実験器具の工作です。伸ばしたゼムクリップを電極にして、魚型の小さな醤油さしに差し込みます。水素と酸素が溜まった醤油さしの口を火に近づけると…パン!と大きな音が。 水素はとても燃えやすい気体なので、ちゃんと音が鳴ったら、電気分解は大成功です。
次の実験は、紫イモからできている食用色素の水溶液にお酢を加えると、赤く変化して酸性に変わりました。虫刺されの薬を加えると青に変化します。使用した虫刺されの薬はアンモニアが解けているためアルカリ性です。この紫イモの水溶液を使って、中和反応の実験をします。 虫刺されの薬でアルカリ性(青)になっている水溶液に、ドライアイスを入れます。 すると、水溶液にドライアイスの二酸化炭素が溶け出し、赤くなり酸性に変化したことがわかります。さらにそこに虫刺されの薬を入れ、色の変化を観察します。
赤から青、そしてまた赤と、どんどん色が変わる様子を見て、塾生からは大きな歓声があがりました。実験の授業がない中国、インドネシア、ベトナムの塾生たちは、初めての実験に心躍らせていました。手軽で楽しい実験で、化学の不思議と美しさを感じました。