2015年度 活動レポート 第30号:埼玉大学大学院理工学研究科

2015年度活動レポート(一般公募コース)第30号

台湾国立成功大学大学院の大学院生・助教が来日し、交流プログラムを実施

埼玉大学大学院理工学研究科

7月6日(月)から26日(日)、埼玉大学大学院理工学研究科では台湾成功大学から助教1名および大学院生5名を受け入れ、さくらサイエンスプログラムの招へいによる交流プログラムを実施しました。

このプログラムは、CRES-Tラインを用いた植物転写制御解析技術の修得と、派遣終了後の共同研究の推進を目的としています。共同研究は、「ランの花の形態形成に係わる転写因子解析」「植物のアルカリストレス耐性に関する得転写因子研究」「台湾固有植物Eccoilopus formosanusの根に特異的に蓄積するアントシアン生合成関連転写因子の解析」というテーマで進めています。

理工学研究科には多くの植物科学研究者が集まっており、今回、複数の研究室で台湾の学生を受け入れて実験を行いました。

3週間の日本滞在中、第1週目と3週目は、埼玉大学の高木研究室で植物の網羅的転写制御因子発現抑制ラインCRES-Tを用いた植物転写制御機構解析技術の習得を目指し、積極的に実験に参加しました。特にアントシアシン生合成関連転写因子の解析を目的としたアントシアシンの蓄積については、興味深く観察しました。

戦略的研究部門 高木優教授研究室にて

第2週目は、理学部分子生物学科の西田研究室を訪問し、脂質分析実験を見学しました。また、理学部分子生物学科の西山研究室を訪問し、光合成実験を体験しました。植物や藻類の酸素発生やクロロフィル蛍光を測定して光合成活性を調べました。

分子生物学科 西田生郎教授研究室にて
分子生物学科 西山佳孝教授研究室にて

さらに日本の最先端の研究機構が集まる茨城県つくば市に足を延し、複数の共同研究先を訪問しました。

7月9日の午前中は、つくば市にある花き研究所の八木主任研究員を訪問しました。花き研究所の市村所長も挨拶に来られ、花き研究所で行われている数々の研究を紹介して頂きました。研究についての意見交換を行った後、温室を見学しました。

7月9日の午後および7月10日には、産業技術総合研究所の植物機能制御研究室を訪問しました。改良型yeast-one/-two hybridの実験を行い、CRES-Tライン種子保存庫を見学しました。光田主任研究員が、yeast-one/-two hybridに使用するハイスループットスクリーニング機を紹介しました。

農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所を訪問
産業技術総合研究所 植物機能制御研究室を訪問

産業技術総合研究所の植物機能制御研究室にて

7月10日の午前中は、筑波大学遺伝子実験センターを訪問しました。王寧助教がトマトのマイクロトム突然変異系統について説明しました。台湾の学生達は矮性小型品種トマトに高い関心を示していました。

筑波大学 遺伝子実験センターを訪問
筑波大学 遺伝子実験センターにて

滞在中の第1週目、2週目の土曜日は、それぞれ日本科学未来館と国立科学博物館を訪問しました。高木研究室の学生が通訳として同行し、展示内容を説明しました。これによって学生間のコミュニケーションを充実させることができました。台湾の学生は、ロボット等の日本の最先端技術に興味を示しました。

休日には、国立科学博物館を訪問

スケジュール後半にはセミナーを開催し、積極的な意見交換も行われました。台湾の学生達は、埼玉大学内の分子生物学科合同セミナーに参加しました。大学院生の荘さんは彼女自身の博士論文研究「胡蝶蘭の花の香りを支配する遺伝子に関する研究)について発表を行いました。また、高木研究室内では、特別にセミナーを開催し、学生全員が各自の研究についての発表を行いました。各自の発表後には、英語での活発な意見交換も行われ、台湾の学生はもちろん、日本の学生にとっても非常に有益な時間となりました。

分子生物学科と台湾成功大学生命科学系大学院生合同セミナー
高木優研究室と台湾成功大学大学院生セミナー

高木優研究室と台湾成功大学大学院生セミナー

今回、台湾から埼玉大学を訪問した6名は、日本での3週間の滞在を通じて、研究や実験技術の習得はもちろん、日本人研究者、学生との交流、文化に触れ、多くの収穫を得ることが出来ました。台湾の学生は、和食を堪能したのは言うまでもなく、日本独自の文化について多くの新たな発見をし、沢山の思い出を作り、帰国の途につきました。今後、台湾での研究を進め、いずれ研究者として再び日本に来ることを願っています。また、今後は埼玉大学の学生が台湾成功大学を訪問し、更なる共同研究を推進することも計画中です。

日本食を堪能
送別会の様子

参加者の感想

Chang Song-Bin(助教)

I would like to express my best appreciation to 高木教授、西田教授、西山教授、光田教授、八木教授、葉助教 and their professors, secretary, staff, students for their warm and cordial hospitality. I have been impressed by your excellent scientific achievement. I wish we can keep this tight connection between Japan and Taiwan.

Chuang Yu-Chen(学生)

Thank a lot for the invitation. I learned a lot from laboratory visit. I'm also very impressed about the Japan culture and food. Hope I can come to Japan in the future.

Chen You-Yi(学生)

I'm very grateful for Saitama University to give me this chance to visit Japan. This exchange program gives me new information about science. Thanks a lot, again.

Liang chieh-Kai(学生)

I'm really happy to have the opportunity to visit Japan. We exchanged our study and shared the research results with Saitama University. Also thanks for the Saitama University to give me the exchange program and new information about science.

Kuo Yi-Tzu(学生)

The exchange program provided a very good opportunity for me to know the researchers and research in Saitama University and AIST as well. Besides, experience of Japanese culture was also a very impressive part.

Yeh Hsuan-Yu(学生)

It's my honor to have this opportunity of exchange program. I did learn and experience a lot about the different research environment and study fields. Thank you for your kind hospitality and wonderful arrangement. I love Japan and would like to visit again in the future.