2015年度活動レポート(一般公募コース)第26号
タイの優秀な高校生が京都・東京で科学研修 その3
立命館高校
7月30日(木) 日本科学未来館見学、東京工業大学にて「サリドマイド催奇性」に関わる講義、「シロアリ」についての講義と研究室見学
午前中は日本科学未来館にて見学研修。2時間という短い時間での見学だったため、時間がもっとほしかったといいう感想だった。しかし、ASIMOのショー等が特に良かったようで、日本の最先端科学技術を楽しく学習できた。
午後は、東京工業大学を訪れ、大学見学と講義受講、そして研究室の見学を行った。2006年、MWITSから初めての交換交流で立命館を訪れてくれた生徒の一人が、MWITS卒業後、東京工業大学で学び、現在はタイで研究者として活躍している。彼女の恩師を紹介してもらい、この訪問が実現した。筑波大学附属駒場高校から1名の生徒が参加した。
東京工業大学では、最初にキャンパス見学をさせてもらった。特徴的な校舎の見学の後、スーパーコンピューターTSUBAMEの見学。見学の最後に、工作室を見せてもらった。最先端の中でもものつくりを大切にされていることが理解できた。
続いて、2つの講義を受けさせてもらった。生命理工学研究科、生命情報専攻の山口雄輝教授と生体システム専攻の本郷裕一教授である。山口先生は、ゲノム情報発現の制御機構の解明をされた先生で、この日の講義は、サリドマイド催奇性における主要な標的因子を発見された話であった。長年謎とされていた研究で、魚類や鳥類のサリドマイドによる異常が大きく改善されるという内容であった。本郷先生からは、シロアリとその腸内にいる腸内原生生物の話であった。講義の後で、本郷研究室を実際に見学させていただき、全員に2台ずつの顕微鏡を用意いただき、講義に出てきたシロアリとその腸内の原生生物を実際に見せてもらうことができた。その後、研究室で行われている様々な研究を丁寧に説明いただきながら見学させてもらった。
参加生徒から、「難しいレベルのお話だったが、将来の選択の分野を広げてくれる貴重な体験でした」「シロアリや氷ミミズを観察できてこれらに関する考え方もいい方向に変えられました」等の感想が得られた。
東工大を出て、永年にわたってSSH連携校として関係を深めてきた筑波大学附属駒場高校を訪問させていただき、交流・親睦を深め、帰り道に東京大学正門前で写真を撮った。
7月31日(金) 「脳」についての講義、帰国
午前中、立命館大学東京キャンパスに、自然科学研究機構 特任教授 小泉周先生を招き、「脳」についての講義を行っていただいた。筑波大学附属駒場高校から2名の生徒が参加した。
講義では、網膜の機能やその信号を脳がどのように認識するかをお話しいただき、信じられないような錯視をいくつも見せていただく驚きの体験により「脳」の不思議さを感じさせられた。続いて、小泉先生が作製されたマッスセンサーを使った体験をさせてもらった。筋肉の収縮時に発生するわずかな電流を捕え、それを増幅してランプをつけるという機械である。最後に、小泉先生が歩まれた経歴から、若い高校生に期待することや将来に向けてのアドバイスをいただき、講義は終了した。
参加生徒からの感想は、「今私が見ているものが周りと人と同じように見えているのかは分からない、人体の神秘と奥深さを感じた」「筋肉だけでなく体の他の部分を光に変える実験をしてみたくなった」「実験を交えながらのとても興味深い講義を受けさせていただくことができた」等であった。
東京駅で最後の食事をして、立命館生徒とお別れ。MWITS生徒たちは日本で貴重な科学研修を体験し、多くの友情を育み、友人との再会と日本への再来日を誓って、成田空港から帰路に着いた。