2015年度活動レポート(一般公募コース)第25号
タイの優秀な高校生が京都・東京で科学研修 その2
立命館高校
7月27日(月) Science Workshop「地球と環境を守る小さな生き物の力を知る」
立命館附属校の生徒20名とともに合計30名の生徒でワークショップを実施した。立命館大学理工学部環境システム工学科の中島淳教授、樋口能士教授の指導のもと、活性汚泥を使って水を浄化する学習を行った。午前中は、中島教授から講義を受け、現在、立命館大学で研究されている内容や、中島先生が関わられ、学生さんとともに活動されている海外プロジェクト等が紹介された。その中ではgray waterと呼ばれる再処理水を生活のどの部分で使っていいかという意識調査等、興味深い報告を聞かせていただいた。その後、午後の実験についての説明を受ける。
午後は、5つの班に分かれての実験。各班とも下水処理場から取ってきたもの、実験室で培養したもの、2種類の活性汚泥を使い、活性汚泥だけの状態と汚染物質を入れた状態とで班毎に酸素利用速度(OUR)を測定した。汚染物質は班毎に異なり、砂糖、牛乳、オレンジジュース、米の磨ぎ汁、トムヤムスープ。それぞれ10分間程度の間、30秒毎に測定した。
得られたデータからグラフを作り、その傾きを読み取る。班毎に得られたデータをホワイトボードにまとめ、それらのデータから何が読み取れるかを班毎に議論し、報告。それぞれの班で目をつけた点が異なり、興味深い考察となった。
参加した立命館高校の生徒の感想には、「自分の課題研究と関連していて、とても有意義な時間でした」「身近で大事な問題をしっかり考えることができた」「将来に結びつく勉強が出来て、新たな知識を増やすことが出来た」「英語で理解し意見を述べることで、英語が将来の自分に必要となるスキルだと思いました」等と述べられている。
7月28日(火) (株)ユーシン精機訪問、京都水族館見学
このワークショップ期間中、MWITSの生徒達とともに立命館大学内の宿泊施設に泊まっている立命館附属校生徒8名とともに、京都市内での研修を行った。
午前中はプラスチック成形機械や半導体製作機械等の製作をしているグローバル企業、株式会社ユーシン精機を訪問。まず、会社紹介とユーシン精機が開発した技術等についての説明を受けた。一つのプラスチック製品を成形するのに、0.1秒短縮することでどれほど製作コストが下がるのかの説明を受け、高い技術がそれを可能にしていることを知った。同じ機能を持った部品でも形を工夫することでモーメントが大きく減少し、速く正確な動作をさせることができることはたいへん興味深かった。工場内を見学させていただき、実際の機械の動きを目の前で見ることができた。その後、少し離れたところにある別の工場へ移動し、半導体作成時のガラス板の再利用の工程等について、説明していただいた。
午後は、京都水族館を見学。新しくできた綺麗な水族館にたいへん喜んでいた。イルカショーの見学も初めての生徒が多く、満足感は高かった。4日間、一緒に取り組んできた立命館附属校生徒達と別れ、翌日の東京への出発に備え、京都駅そばのホテルに宿泊。
7月29日(水) 東京へ移動、国立天文台訪問
午前中に東京へ移動。初めての新幹線に興味津々であった。東京研修には立命館高校から4名の生徒が同行した。
午後、国立天文台を訪問。臼田功美子先生から国立天文台についての説明、特に、国立天文台がハワイで運用しているすばる天文台は世界最先端の技術を誇る天体望遠鏡であり、多くの功績をあげていることは興味深い話であった。続いて、ハワイで建設が開始されているTMT(Thirty Meter Telescope)の説明を受けた後、天文台内を見学させていただいた。歴史的価値の高い、古い望遠鏡を見せてもらったり、太陽系を模式的に表した遊歩道を歩いたりと楽しい見学であった。
参加生徒から「初期の望遠鏡や国際協力を得ながら建設しているTMTなど、日本の技術の進歩を感じました」等の感想があった。夕方、東京の街を見てもらおうと、秋葉原と渋谷の2グループに分かれて見学した。