2014年度 活動レポート 第99号:大分大学医学部(3)

2014年度活動レポート(一般公募コース)第99号 (Aコース)

タイのサイエンススクール高校生が日本の医療・医学を体験 その3
—日タイのサイエンススクールの交流—

体験その1]|[体験その2

大分大学医学部 内田智久

今回招へいした高校生の半数以上が医学部志望であり、医学部の教育を体験するために「スキルスラボセンター」での実習を行いました。スキルスラボセンターは、基本的な診察、処置、治療のトレーニングを目的とした様々なシミュレーション装置を有する施設です。
高度救命救急センターの協力を得て、臨床実習中の医学科学生、研修医の先生方に講師となっていただき、一次救命、聴診、エコー検査の3つのグループで実習を行いました。
一次救急では、倒れている人を発見したという状況設定で、救急車や人を呼ぶところから心臓マッサージ、AEDによる心肺蘇生まで学びました。シミュレーション装置とはいえ、実際に心臓マッサージするのは全員が初めてであり、最初はおそるおそる胸骨を押していましたが、適切な指導によりしっかりと胸骨圧迫ができるようになりました。

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立派なドクターです!
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一次救命法を医学生から学ぶ

聴診では、心音のシミュレーターを用いて聴診器で心音を聞いてみました。聴診器を当てる場所によって聞こえる音が違うこと、心臓の異常で心音が変わってくることを理解していました。
エコー検査のシミュレーションでは、プローブを当てて内臓の検査をしました。臓器の配置など教科書での2次元の理解から、3次元の理解へと、深く体の構造について学ぶことができました。
全員が興味を持って実習に取り組んで、指導に当たった医学科学生とも交流が深まりました。医学生にとっても人に教えることで自分のスキルが向上するいい機会になりました。

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お世話になった?シミュレーター人形と記念撮影

午後は、男女共同参画推進室との共催で研究者交流会を行いました。タイの高校生が「シナモンの防腐剤効果」と「エアコン室外機の蓄電効果」についての研究成果を発表してもらいました。活発な質疑応答が繰り広げられ、また将来の夢については、ドクターやエンジニアなど多彩な職種が出てきましたが、またいつか大分大学に来て勉強や研究をしたいという発言も多く飛び出し、会場は盛り上がりました。

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大分大学医学部の最終日で、修了証を授与しました

西園教授から挨拶の言葉があり、一人一人に修了証が授与されました。 生徒を代表して、さくらサイエンスプログラムにより日本の医療や医学教育、高校生との交流などに参加し非常に充実したプログラムであった旨の挨拶がありました。

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修了証を手にしました

10月18日。
大分工業高等専門学校のミシンボランティア部の学生さんとの交流会です。
ミシンボランティア部は古くなった足踏みミシンを、アジアで使ってもらう活動を行っています。単に使い方だけではなくて、壊れたときの修理の仕方も教え、長く使ってもらう工夫もしています。
タイのチェンマイにもミシンを持って行った事があるということで、タイとの交流も盛んです。
タイの生徒さんたちが、タイ舞踊を披露してくれました。民族衣装も準備してくれて、優雅な舞に見入ってしまいました。舞踊の第4部では、高専の学生とタイの生徒が一緒になって即興でダンスをして、一気に距離が近づきました。

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タイの民族舞踊披露

バスで水族館「うみたまご」に移動し、グループに分かれて行動です。セイウチやイルカのショーを見て、楽しい交流のひとときを過ごしました。

10月19日。
6日間お世話になった宿泊施設「陣屋の村」を出発して、福岡に向かいます。
陣屋の村では、日本の文化を多く学びました。畳の上で生活すること、大きな風呂に入ること、特に大浴場ははじめは難しかったようですが、最後には露天風呂にも挑戦する生徒も出てきて、日本の生活スタイルを満喫していました。
毎日の食事も、辛いものが大好きなタイ人の口に合うかと気をもんでいたのですが、陣屋の村のスタッフの細かい気配りもあって、日本食大好きと言ってくれるほどになりました。
途中、夢大吊り橋に寄って、少し早い紅葉と橋の上からの絶景を楽しみ、福岡へ移動しました。

そしていよいよ最終日。
台風19号の嵐の中始まった大分大学医学部でのさくらサイエンスプログラムですが、到着日以降は天候にも恵まれ、無事に最終日を迎えました。大きなバッグにお土産と心の中にたくさんの思い出を詰めての帰国です。
日本のことが大好きになった。大分にまた戻ってきたいとうれしいことを言ってくれます。一人一人と再会を誓い握手をして、全員で乾杯してお別れです。

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再会を祈って乾杯!

若い高校生の将来にとって、今回の経験が大きな糧となってくれることでしょう。