2014年度活動レポート(一般公募コース)第238号
中国科学院近代物理学研究所の研究者1名を招へい
理化学研究所 仁科加速器研究センター 加速器基盤研究部
理化学研究所 仁科加速器研究センター 加速器基盤研究部では、さくらサイエンスプログラムの支援を受け、平成27年2月1日(日)から2月21日(土)までの3週間、中国科学院近代物理学研究所の研究者1名を招へいしました。
活動内容ですが、まず、2日に本センターの加速器施設を見学を行いました。対象は、RIビームファクトリーの主加速器である超伝導リングサイクロトロン (6基のセクター電磁石が超伝導化されているもの)、ならびに理研リングサイクロトロンです。
その後、平日は、「加速器用デジタルローレベル回路の動作シミュレーション」を行っていただきました。ローレベル回路とは、加速器を制御するための回路の一種で、高周波空洞内に発生する加速電場の位相と電圧を制御・安定化したり、空洞の周波数同調を保つために用いられます。
仁科加速器研究センターでは、ローレベル回路は、現在、ほぼアナログ回路で構成されています。
世界的には、アナログ-デジタル (AD) 変換の後の信号処理を柔軟性の高いデジタル回路を用いて行い、処理後の信号をデジタル-アナログ変換で出力する方式が主流となっています。仁科センターでもデジタル回路の導入を進めるべくハードウエアを手配中で、製作途中の段階でした。
デジタル回路の開発では、専用のソフトウェアを用いてコンピュータ上で回路を設計し、シミュレーションを行うことが必要です。システム全体の設計は比較的規模が大きく時間がかかるので、今回の活動では、招聘研究者の方に、AD変換後の高周波信号を処理し、その位相と電圧を求めるまでの回路設計とシミュレーションを行っていただきました [写真1]。
2月19日(木)には、セミナーを実施し、近代物理学研究所でのデジタル回路開発と今回の課題について発表していただきました [写真2]。
土日と祝日にも活動を行いました。東京近郊の博物館等を訪れて歴史や文化に触れたり、科学技術館等で科学への理解を深めたりしました。中国語の説明文等もあったとのことです。
2/ 7 (土) 国立科学博物館
2/ 8 (日) 東京都美術館
2/11 (水) 日本科学未来館
2/14 (土) 科学技術館
2/15 (日) 東京国立博物館
受け入れ側としての感想ですが、今回の交流活動は、当方で進めようとしていたデジタル回路の開発にとって非常に有益だったと思います。デジタル回路の開発経験がある方と直接話す機会はこれまでなかったのですが、いろいろと質問をして回答をいただくことで多くを学ぶことができ、かつ、今後の開発の指針を得ることができました。
今回のような機会をいただいたことについては、JSTの方々に深く感謝しております。