2014年度活動レポート(一般公募コース)第237号
中国科学技術大学の大学院生が我が国の先端X線技術を研修
東北大学多元物質科学研究所
東北大学多元物質科学研究所では、JST日本・アジア青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプログラム)の支援を受け、平成26年8月31日から9月16日までの間、中国科学技術大学のシンクロトロン放射光実験施設National Synchrotron Radiation Laboratory (NSRL)にて研究を行っている4名の大学院生を招聘しました。
X線画像科学を研究する学生たちは、当該分野で世界をリードする百生研究室との技術交流を主目的として訪問し、X線機器の企業や、我が国のシンクロトロン放射光施設も見学しました。
プログラム内容
1)X線イメージング実験
X線は様々な物質の研究や検査のために広く用いられていますが、さらに様々な技術革新が進められている分野でもあります。X線の位相コントラストの活用(X線位相イメージング)もそのひとつであり、大学院生らは当該分野で世界をリードする百生敦教授を訪問しました。
百生教授による講義およびガイダンスを受け、実際に百生研究室でX線位相イメージングの実験を見学しました。実験内容について自らもアイディアを出し、実験結果に関する討議も活発なものになりました。
2)(株)リガクの見学
X線計測機器の専門メーカーである株式会社リガク(東京都昭島市)を、百生教授による引率のもと、百生研究室のメンバーらと共に見学訪問しました。展示室で高度なX線機器に関する説明を受け、生産現場にも入れてもらえました。中国人の社員からの説明に質問も弾みました。
昼食は社員食堂の味を確かめ、次の訪問先に向かいました。
3)シンクロトロン放射光施設見学
続いて、我が国の二ヶ所のシンクロトロン放射光施設、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の放射光実験施設(PF)、および、SPring-8を見学訪問しました。
KEKでは、機構の紹介ビデオを見た後、PFの実験ホールに入りシンクロトロン放射光実験の数々の実験ステーションを見学しました。
翌日はSPring-8に移動し、高輝度光科学研究センターの櫻井吉晴グループリーダーからSPring-8およびX線自由電子レーザー施設であるSACLAに関する説明を受けました。さらに、百生教授がイメージング実験ステーションを案内しました。施設の先進性に大いに驚愕しました。
はじめての日本の訪問で、これまで論文でしか知らなかった日本の技術を体感し、大学院での自らの研究に大きな刺激になったと思われます。
また、研修の間、日本人学生との交流や、松島、浅草、京都への訪問機会もあり、日本の生活や文化についても経験できました。
今後も百生教授らと交流を続け、日本との関係を深めたいという気持ちを強めたようです。
最後に、4名の研修生の指導教員で百生教授の友人であるWu Ziyu教授におかれましては、長くの闘病叶わず、平成27年3月23日に永眠されました。謹んでご冥福をお祈りいたします。