2014年度 活動レポート 第216号:九州工業大学

2014年度活動レポート(一般公募コース)第216号

台湾科技大学の大学院生10名を受け入れました

九州工業大学

平成27年1月20日(火)から1月29日(木)までの10日間、交流協定校である台湾科技大学から、日本を初めて訪れた学生10名(工業経営、電子電気、工業デザイン)と引率教員1名を本学飯塚キャンパスで受入れました。プログラム初日は、オリエンテーションで今後のスケジュール等の確認を行いました。

2日目午前は、早速飯塚キャンパスの研究室を見学しました。伊藤高廣研究室では自走式の小型カプセル等を、小林順研究室ではデザイン実践工房を、先端金型センターでは金型加工装置を見学し本学の施設に興味を抱いたようでした。
午後は、台湾科技大の学生10人と本学の梶原研究室・鶴研究室・塚本研究室の学生8人が各自の研究についてポスター発表を行った後、ディスカッションを行いました。学生からは、他大学の学生とアイディアやアドバイスを交換するのに良い場だった、との感想が聞かれました。

プログラム2日目
伊藤研究室で自走式の小型カプセルの製作現場を見学する様子

3日目は北部九州に工場を構えるトヨタ自動車九州及び日産自動車九州工場を訪れ、同業種の工場を続けて見学することで、自動車の製造工程の理解を深めたようでした。
特に製造工程の管理システムや、作業効率・正確性・安全性の向上のために現場で行っている工夫等を知り、日本のものづくりに対する姿勢に感銘を受けたようでした。

4日目は北九州市の新日鉄住金八幡製鉄所を訪れました。学生の多くは製鉄業の工場見学は初体験で、複雑で巨大な設備が動く様子に驚いていました。
午後は本学の戸畑キャンパスを訪れ、宇宙環境技術ラボラトリーで人工衛星開発研究の現場を、伊東啓太郎研究室で環境デザイン研究室を、機器分析センターで元素分析等の高性能機器を見学し、横野照尚研究室で光触媒など物質工学の研究紹介を受け、ランゲッジ・ラウンジで戸畑キャンパスの学生と英語で交流し、竹中繁織研究室で遺伝子工学研究の紹介を受けました。

プログラム4日目
普段は立ち入りが難しい新日鉄住金八幡製鉄所を見学する様子。

5日目は福岡市内の見学に訪れました。午前は実際にロボットに触れ、操作体験できるロボスクエアを訪れました。ロボスクエアでは人と触れ合ったり、自分で考えてゲームをしたりする等、高度な機能を持ったロボットを見て、日本のロボットの先端技術に驚いていた様子でした。
また当日は3Dスキャナーとレーザーカッターを使ったイベントが行われており、スキャナーで取り込まれた自分のシルエットが、アクリル板にレーザーカッターで切り抜かれる様子を見たり、ポーズを工夫したりしていました。

午後は同じく福岡市内にあるアサヒビール工場を訪問し、官能検査の検査人の試験制度など、製品の品質を高い水準で一定に保つためのシステム(こだわり)に驚いている様子でした。

6日目は飯塚キャンパスに戻り、最終日に行われる発表会の準備のため各自で準備をしました。

7日目は飯塚市に工場がある、ひよ子本舗吉野堂及び一番食品の工場を見学しました。地元飯塚の企業で、食品製造・加工の現場での厳しい衛生管理の取り組みを学びました。ひよ子本舗吉野堂では、包装に不良があるものは包装し直す等、経費が掛かっても、顧客満足を優先させる取り組みに、自国との違いを感じているようでした。また季節限定の商品やパッケージのデザイン等にもかなり興味を示していました。

プログラム7日目
ひよ子本舗吉野堂工場で製造ラインを見学し焼き立てのひよ子を振る舞っていただいた。

8日目は北九州市に本社がある、安川電機及びTOTOの工場を見学しました。安川電機ではロボットの製造工程を見学し、ロボットがロボットを作る様子や、柔らかいものをつかむ・高速で繊細な動きをする等、高度な技術が用いられたロボットに惹きつけられていました。
TOTO工場では衛生陶器の製造工程を見学し、台湾ではまだウォシュレットが普及しておらず、高機能の洗浄機付き便座がどのようにして動くのか、センサーや内蔵部について質問が相次ぎました。

プログラム8日目
安川電機の工場見学では、ロボットたちによる小倉祇園太鼓の演奏に興味深々

9日目は飯塚キャンパスで、今回のプログラムで学んだことについて、口頭で発表する合同フォーラムを実施しました。日本の印象がどのように変わったか、日本で発見したこと、もしくは、訪問した工場・企業を2社選択し、概要・学んだことというどちらかのテーマで発表しました。
発表資料を準備する時間が十分に確保されていないにもかかわらず、上手く情報を収集・整理し、構成・デザインも優れた資料を作成しており、傍聴した本学学生にも刺激になったようでした。

プログラム9日目
発表会工場見学などで学んだこと、滞在中に発見したことなどについて発表する様子。

最後に送別会が行われ、台湾科技大学生10名に本学教職員・学生33名が参加しました。送別会の席で、さくらサイエンスプログラムの修了証の授与を行いました。工場見学への帯同や、合同フォーラムから参加した学生も多数参加しました。送別会から参加の学生もいましたが、日本の学生と接することに慣れてきた様子で、台湾科技大の学生が積極的に話しかけ、初対面同士でも短時間で打ち解け、写真撮影や連絡先の交換を行っていました。

最終日の10日目に、受け入れた10名の学生は台湾へと帰国しました。今回の10日間の滞在中、学生たちは、多様な業種の工場見学と本学の研究室訪問で、日本の先端技術だけでなく、ものづくりや研究に対する情熱に触れました。また合同フォーラムでは両学の学生同士が研究活動について意見交換を行うことで、互いに刺激を受けていました。学外活動などでも日本に対する興味関心を深め、全員がまた日本に来たいとの声を寄せてくれました。