2014年度活動レポート(一般公募コース)第213号
中国の研究者と日本の学生らが互いの研究テーマについて交流
京都大学薬学研究科 教授 高須清誠
JSTさくらサイエンスプログラム:共同研究活動コースにより、2014年9月30日~10月13日の日程で、中国科学院昆明植物研究所(雲南省)より博士研究員1名、中国科学院天然物化学重点実験室(貴州省)より博士課程大学院生1名の計2名を招へいしました。
両研究者とも、郝小江教授の研究室で植物から抽出される小分子化合物を基点に創薬科学の研究をしています。郝小江教授と小職は旧知の間柄で、数年前より我々が合成した化合物の生物活性を郝教授の研究室で評価していただき、共同研究を実施しています。
今回の交流の目的は、来日者に日本の研究機関、特に有機合成化学研究や教育について体験して頂き、また当研究室の学生とお互いの研究テーマについてディスカッションすることで交流を図ること、さらにはそこから生み出される新たな共同研究のアイデアを期待しました。
来日2日目の夜に、当研究室の中国人留学生を含めた数人の学生・教員と来日者で小宴を開催し、日本酒や寿司、刺身を体験してもらいながら双方の言葉とメンタルな距離を縮めました。特に、中国の乾杯は言葉通り杯を乾かすのが礼儀ということもあり、乾杯三昧の夜になりました。会場の近所は京都の歴史的景観を残すところでもあり、日本の文化的な側面にも触れてもらうことができました。
来日中には、彼らが中国で行っている研究成果について英語で日本人学生を相手に講演してもらいました。お互いに母国語以外でのコミュニケーションとなったため、当初は若干の戸惑いがあったものの、ボディランゲージやホワイトボードを用いたチョークトークを活用して白熱した議論を展開することができました。
また、我々の研究室の博士移行期課程学生とは個別にディスカッションを行い、我々の研究について理解を深めてもらうとともに、ディスカッションを通してアイデアの交換をすることができました。
また、来日前半には富士フィルムファインケミカルズ株式会社の 海原剣先生に「安価原料の活用、製造コスト低減の徹底等、合成品利益の創出」について講演を行って頂き、創薬関連企業の日中間での研究交流やビジネスについて学びました。
来日後半にはドイツより来日されたHarald Groger先生に有機合成についての講演を行って頂きました。
週末には京都・奈良を観光し、古都の歴史や文化について理解を深めたようです。
このような機会を作って頂いたJSTさくらサイエンスプログラムに感謝申し上げます。またこれをきっかけにアジア間の学生の交流が増えていくことに期待したいと思います。