2014年度活動レポート(一般公募コース)第195号
モンゴル・ウランバートル市の高校生10名が科学技術交流
国際環境技術移転センター
2014年11月30日から12月7日の8日間、モンゴル国ウランバートル市内の高校生10名を当センター(三重県四日市市)に受入れ、研修を実施しました。
モンゴル国での環境汚染問題を背景にした環境保全分野での日本の経験と取組みをテーマに、特に四日市地域で発生した産業公害の克服の経緯を過去から現在に至るまで追うことを事例として、科学技術の用いられ方、持続可能な発展、環境保全を総合的に理解するプログラムとしました。
参加者はモンゴル国内で化学、数学、そして学業以外にもスポーツや芸術分野でトップクラスの選抜メンバーが集まりました。ウランバートル市教育局の職員1名による引率で、ICETTを研修拠点に、講義、実習、見学、交流などで構成して実施しました。
プログラムの前半では、本計画のキーとなる四日市公害を扱った講義「日本の環境改善の歩み」や三重県の環境分析施設の見学をしました。講義中は、休憩も取らずに質問を続けていた姿が印象的でした。
また、日本初のバイオマス活用施設である八木バイオエコロジーセンターでの「家畜ふん尿によるエネルギーの再生」は、自国モンゴルの条件に共通する点が多く、参加者は親しみを感じるとともに自国での可能性に想像をめぐらせました。
三重大学医学部では、「ゼブラフィッシュ」を指標とした発達神経毒性評価について学習しました。また、中部電力株式会社では、太陽光発電のしくみや研究所での様々な研究事業を知ることができました。
参加者はプログラムが進むにつれ、探究心の大切さや限られた資源を次の世代にどう残すかが全世界の課題であることに気づいたようでした。
東京では、日本科学未来館を訪問し、様々な展示に触れたり科学技術を体験しました。東京都庁では、休日にも関わらず東京都総務局首都大学支援部の職員の皆様に温かく迎えていただき、大都市東京の歴史や、都市形成、産業科学技術振興を楽しく理解しました。高層ビル群の眺めには、皆大はしゃぎで、時間の経つのも忘れました。
交流の面では、地域の方々とも様々な形で触れ合いました。
四日市市内の暁高校の訪問では、高校生同士で自国の紹介をそれぞれ行った後、日本人・モンゴル人が入り混じったグループに分かれて数学の問題を解くワークショップをしました。モンゴルの高校生は民族衣装を着て交流の場を和ませ、またお互いにお土産を渡し合うなど和気藹々とした時間になりました。
参加者の誕生日には、誕生会を兼ねて折り紙をしたり、また、四日市市内のボランティアのご家庭に訪問をさせていただき、日本の生活習慣を体験することができました。ホームビジットによる日本の温かいご家庭との触れ合いは、忘れがたい時間になりました。
また、閉会式で参加者に修了証を授与した後、送別会を兼ねて、ちょうど当センターで研修中だったインド人の研修員との交流会も実現しました。互いの国の紹介やダンスなどで大いに盛り上がりました。
参加者は日本で様々な情報を吸収し、「百聞は一見にしかず」を身をもって体験できたようでした。同行された教育局の職員は、参加者がこの経験を自分個人だけでなく広く共有するために、帰国後に再度参加者を集めて報告会の開催などを考えているようで、本計画の効果が大いに期待できると思います。
科学技術振興機構(JST)のご支援の下、参加者及び当センターにとって実りあるプログラムとなりましたこと、この場をお借りしてお礼申し上げます。