2014年度活動レポート(一般公募コース)第176号
ESDユネスコ世界会議交流セミナー報告書
一般社団法人ときの羽根
さくらサイエンスプログラムで採択されたことがきっかけになり、当財団はESDユネスコ世界会議の交流セミナーを実施することができた。
ESDとは、Education for Sustainable Development の略である。この活動の目的は環境、貧困、人権、平和、開発といった、現代社会の様々な課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組むことにより、それらの課題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出すこと、そして、それにより持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動のことである。
今回実施された成果について報告する。
ESDユネスコ世界会議の成果
本セミナーは「JSTさくらサイエンスプログラム」、「トヨタ環境活動助成プログラム」、「三菱UFJ国際財団」、「経団連自然保護協議会」から助成を受け、2010年から上海市・崇明県政府と毎年実施した「自然がっこう」を「日中合作ESD環境教育事業」として位置付け、中国関係者を招聘し日中合同セミナーを実施したものである。
本年JSTさくらサイエンスプログラム第一次公募に採択(申請先:ときの羽根)したことにより、中国政府機関が選抜した20人(四川省、河北省、安徽省、北京、上海から環境分野の教授、大学院生・大学生、研究者、小学校教師、政府関係者)の中国人を招聘した。
- 前半:
- 【主催者挨拶】久田治子(一般社団法人ときの羽根 代表理事)
【挨拶】黄錦龍氏(中国駐名古屋総領事館領事)・森正夫氏(元名古屋大学副総長)
【基調講演】ときの羽根の設立経緯と日中合作活動実績について(理事・足立幸治)
- 後半:
- 下記3テーマについてコーディネーター主導でグループディスカッションした。
1)崇明島での活動を基にESDと生物多様性教育(李建華教授・香坂玲准教授)
2)崇明島発グリーンマップ普及実績を「長江こども環境サミット」へ(萩原善之氏)
3)「日中アグリ青年交流会」を軸に循環型農業の深化を目指す(藤井敏夫氏)
中国教育現場での環境保全教育の現状と三農政策の課題を抱える循環型農業の現地問題など中国側の現状報告に関心が高く、同時に日本の農業分野でも後継者問題など両国が喫緊の問題を抱えており積極的な意見交換と議論が交わされた。
上記課題解決の喫緊性を共有し一層の情報交換と交流を深める重要度を認識した。
【ESD日中合同参加の具体的な成果】
中国政府と合作合意の調印締結
弊法人と上海対外科学技術交流中心、上海市農業科学院園芸研究所の三者で協力合意書を締結。科学技術系と農業系との三者調印は、来年度の「長江流域の生物多様性保全活動」における上海市の役割と責任を明確にするとともに日本の農商工連携、第六次産業化への窓口としての機能を目指す。
調印立会人・黄錦龍領事、李建華教授、西堤氏(トヨタ環境活動助成プログラム)
今後の展望
ESDユネスコ世界会議交流セミナーで調印締結をした日中間の交流実績をベースに来年から「長江流域連携」を具体化し、生態系全般における生物多様性保全への意識向上を目指す課題解決型ESD環境教育へと進化させる。
2015年10月に活動拠点である上海崇明島で「こども環境サミット」を実施。環境対策を数値目標でなく小中学生の視点で体験し、学び、発見を通してあらゆる対象との対話を重ねて課題解決に取組む「グリーンマップ」をツールとした日中環境教育活動を展開する。