2014年度活動レポート(一般公募コース)第150号
中国・雲南省、昆明理工大学の学生・教員が東京理科大学を訪問 その3
東京理科大学 理工学部 教養 菅野賢治
5日目(10月27日)は、本学の神楽坂キャンパスで、「日本科学技術史」(前編)と「日本文化」、二つの講義をこなしました。久保輝幸先生(中国・武漢工程大学)が中国語で行う授業では、その内容もさることながら、先生の中国語の厳密さ、流暢さに感銘を受けました。「日本文化」の授業では、伝統和楽器奏者・山尾麻耶先生による三味線の音に聞き惚れてしまいました。東南アジア、中国南部、そして沖縄には、弦楽器を通じた長い交流の歴史があったことも学びました。
昼食をはさんで、神楽坂キャンパス内の「近代科学資料館」を訪問しました。本学が、1881(明治14年)、東京物理学講習所として産声を上げ、その後、1906(明治39)年、神楽坂に建設された東京物理学校の木造校舎を復元したのが、この白亜の建物であるということ、そして、それが同時に日本一の計算機コレクションを誇る博物館であることも、訪問学生たちにはきちんと理解してもらいました。同館・科学コミュニケーター大石和江さん、ならびに大学院生・趙智賢さんに案内の労をとっていただき、ありがとうございました。
その後、本学の中国人留学生3名にも付き添ってもらって、お台場の「日本科学未来館」へ。未来館の展示内容とASIMO君の実演はもちろんのこと、東京のウォーターフロントの雰囲気がとても気に入った様子でした。
最終日(10月28日)は、葛飾キャンパスで、まず齋藤茂先生による3回目の日本語授業です。わずか数日で、基本的な日本語をかなり使えるようになった学生もいます。2時間目は、久保輝幸先生による「日本科学技術史」(後編)でした。
午後は、研究室ミニ・インターンシップとして、基礎工学部・材料工学科の向後保雄先生、曽我公平先生の研究室、ならびに工学部第一・教養の李海燕先生(中国語)の研究室に分かれました。
向後研、曽我研では、材料工学を専門にする2名の訪問学生からの質問が絶えません。専門の話となると、英語を基本的な共通語としながらも、個々の学術用語を中国出身の大学院生・李コウさんが中国語=日本語で逐次、確認するという格好になり、科学技術交流における英・中・日の言語トライアングルが見事に成立していました。ラボを案内してくださった学生の皆さん、ありがとうございます。
夕方、水道橋の「日中友好会館」内にある「豫園」を会場として、修了式ならびにお別れの夕食会を行いました。辻本誠・前国際化推進センター長から修了証を授与したのち、来賓としてお越しいただいた「日中友好会館」常務理事・荒井克之さまより、両校の交流発展に寄せる期待と励ましのお言葉を戴きました。
夕食会では、訪問学生ひとりひとりから6日間の感想を話してもらいましたが、「短いスピーチではとても言い尽くせません。とにかく感謝の気持ちで一杯です」という学生がほとんどでした。
一行は、翌朝4時に起きて成田へ向かわねばなりません。名残が尽きないなか、固い握手を交わしながら早めの散会となりました。
日本・アジア青少年サイエンス交流事業(さくらサイエンスプログラム)は、科学技術を通じた人的交流を促進するものとして、きわめて有意義な事業であると確信します。今後も毎年、規模を拡大しながら継続されていくことを願います。
最後に、ここにはお名前を掲げることはできなかった方々で、本プログラムを支えてくださった数十名(本学の一般の学生・教職員や小布施町の方々も含めるならば百数十名)の方々に心よりお礼申し上げます。