本部長からの挨拶

本部長からの挨拶

2024年4月1日
本部長 藤木 完治

 2024年4月1日付けで、岸 輝雄前本部長の後を継いで、JSTさくらサイエンスプログラム推進本部 本部長に就任いたしました藤木完治です。ご関係の皆様には、今後様々な面でご協力をお願いすることになろうかと存じますが、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

 21世紀に入ってから既に四半世紀近くが過ぎましたが、国際情勢は急速に変化し、これに伴い日本の立ち位置もまた大きく変化しています。そのような中、持続可能な世界を創り上げていくためには、世界の国・地域がお互いの状況や違いを理解した上で相互の信頼関係を構築し、科学技術イノベーションを通して社会変革を実現していくことが極めて重要です。
 しかし、世界的に見ると、この20年間以上にわたり日本発の新たな科学的発見、技術的イノベーションが相対的に減少し、世界の科学技術に対する日本の貢献が低下しているのが現実です。その背景には多くの要因が有りますが、特に重視したいのは、科学技術イノベーションの創出を主導すべき若い優秀な人材が日本の科学技術の現場で減少していること、そして日本の科学技術関係者が世界の科学技術ネットワークに十分参加できていないことです。
 こうした状況を踏まえて、JSTでは、長期的視点に立って世界の優秀な若者を日本に短期招へいし、日本の最先端の科学技術や文化に触れるとともに我が国の青少年との交流を促進するための国際青少年サイエンス交流事業・さくらサイエンスプログラムを2014年度に開始しました。このプログラムは、内外の若い科学技術関係者が互いに理解し合い、強固で持続的な関係を築いていく機会を提供するもので、合わせてこのプログラムを通じて世界の幅広いネットワークに日本の科学技術関係者が幅広く参入していくことも期待されています。既にこのプログラムでは、この10年間で世界の83の国・地域から約4万人の青少年が参加し、国内外の大学・研究機関・自治体・民間企業等の関係者間のネットワークが形成されてきました。
 一方、最近では、世界的な頭脳循環の拡大や、科学技術イノベーション創出のための優秀な人材の世界的な獲得競争の激化等の新たな課題も生じています。私は、この10年間積み上げてきた幅広い国内外の実施機関間や人的ネットワーク等を基盤にこれらの現代の新たな課題にも戦略的な対応を図るとともに、改めてさくらサイエンスプログラムに関する社会や産業界の理解や関心を高めていくことが大切と考えています。
 この一環として、JSTでは2024年度からはASEAN向けの新事業として日ASEAN科学技術・イノベーション協働連携事業を開始することとしています。この事業では、これまでさくらサイエンスプログラムで築いてきたASEANとの機関的、人的ネットワークを基礎として、JST内の他のプログラムとも連携しながら、また、我が国のASEANにおける他の既存のネットワークも活用しつつ、若手人材の交流を深化させ、国際頭脳循環を促進させることを計画しています。また、優秀な科学技術人材を数多く抱えるインド、そして成長著しいアフリカについても、新たな交流拡大の計画について検討を進めたいと考えています。

 2024年度は、さくらサイエンスプログラムにとって次の10年の最初となる区切りの年でもあり、国際青少年サイエンス交流に取り組む全ての関係者各位の期待にお応えすべく、当推進本部の総力を挙げて、日本、そして世界の科学技術・イノベーションの発展に貢献して参りたいと存じます。皆様の引き続きのご理解、ご支援をお願い申し上げます。