日本の医工技術を学び、インドの子どもたちの眼に光を!

取材日:2024年9月25日(Cコース)

 電気通信大学では9月21日(土)から10日間、インドのディワリ・バ検眼大学(Diwaliba Optometry College)から教員5名、研究者2名、その他3名の計10名を招へいし(内、2名は自己資金による)、C.科学技術研修コースのプログラム「インド農村部の中核医療機関との国際医工連携促進のための科学技術研修」を実施しました。

 本プログラムでは、電気通信大学と北里大学が共同で交流計画の一部を立案しています。9月25日(水)、北里大学相模原キャンパスにてプログラムの様子を取材しました。

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 インドでは失明・視覚障害者数は世界第二位、特に小児の眼疾患である弱視は、日本の約100倍の発症率で、医療の行き届かない農村部では深刻な問題となっています。北里大学では、電気通信大学との医工連携により弱視を治療する装置オクルパッド(Occlu-pad)を社会実装した実績や視覚訓練士の育成に力を入れており、また大学に隣接する北里病院の診断機器は世界最先端を誇ります。

 北里大学に到着するとまず医療衛生学部の半田知也教授から歓迎あいさつの後、オクルパッドの説明を受けました。弱視は見える方の眼に眼帯を貼り、見えない方の眼を刺激することで改善されるそうです。ただ見える眼に眼帯を貼るのは子どもたちにとってストレスで、インドのように暑い地域では汗をかくため眼帯がはがれる、皮膚がかぶれる等の問題があり、治療開始から4か月後には2割程しか継続する子どもがいませんでした。そこで開発されたのが眼鏡型のオクルパッドです。オクルパッドをかけてゲームを楽しみながら治療することで、大きな効果が得られたそうです。

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講義に集中するインドの研究者たち
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半田教授によるオクルパッドの説明

 次に川守田拓志准教授が「視能訓練と視覚化学の基礎」と題して、日本の視覚障害者の現状や北里大学の授業内容を紹介しました。日本ではスマートフォン使用時間やテレビ視聴時間が増えており、将来、緑内障や白内障の患者が増加するのではないかと心配していました。また、世界75か国で300万人が使用するKS-AquaPORT(眼内レンズ)についても紹介がありました。

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川守田准教授による北里大の授業内容の紹介
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北里大の学生との交流

 インドからはディワリ・バ検眼大学を代表して、ウマ・シュロフ博士(Dr.Uma Shroff)が研究状況を報告しました。同大学では、「必要な眼科治療を提供することで、失明する人を無くす」を目標に掲げ、「貧困層を含めすべての人が利用しやすく手頃な価格で質の高い眼科治療を受けられること」を目指しています。農村部には公共交通機関が無いため治療の継続が難しく、治験モニターの選定にも苦労したそうです。
 最後に石川均教授と記念撮影を行い、北里大学でのプログラムを終えました。

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研究状況を報告するウマ・シュロフ博士(Dr.Uma Shroff)
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石川教授との懇談

 その後場所を北里大学病院に移し、眼科診療の現場を視察しました。皆さん最新の機器に興味津々。「とても清潔できれい」「医療機器が充実していてうらやましい」等の声が聞かれました。子どもたちが好きなアニメキャラクターが壁一面に貼られた子ども専用の検査室では、「帰ったらさっそくやってみよう」と声が上がりました。

 北里大学の学生との交流、臨床現場の見学等もあり、今後の治療に大変参考となる有意義な一日でした。日本での研修を活かし、多くの子どもたちの眼疾患が治ると良いですね。

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北里大学病院前にて