2024年8月19 日~28日の10日間、ケニアのジョモケニヤッタ農工大学の動物学学科の学生6名と教員2名が、さくら招へいプログラムで長岡技術科学大学をはじめとする日本のアクアポニックス(水産養殖と水耕栽培を掛け合わせた循環型農業)の研究現場や施設を訪問。共同研究・開発の推進に向けた課題抽出や人材育成を目的としたプログラムを体験しました。
初来日の学生たちに日本の印象を聞くと、社会基盤や研究開発環境の先進性に驚いただけでなく、街の「夜も歩ける治安の良さ」や「美しさ」、そして日本人の「優しさ」「歓迎ぶり」にも大きな感銘を受けた様子。将来の夢や展望を聞くと、全員が「マスターコースに進学して研究を続けたい」「アクアポニックスの実装化に貢献したい」「国や地域の課題解決に研究活動を活かしたい」など、さすが20名以上の希望者の中から選ばれて来日した学生たち、みな意欲と希望に溢れていました。
取材に訪れた8月23日午後、24日午前は、長岡技術科学大学の水圏土壌環境研究室で、学内に設置されたアクアポニックスのプロトタイプ装置から採取した水を用い、多くの微生物の中から特定の特徴を持つ種を観察する手法、水中のアンモニアを微生物が浄化する活動を観測・分析する手法を、同大学の現役学生の指導支援を受けながら体験している最中でした。みな真剣に、そして積極的に取り組み、実験機器の扱いにも徐々に慣れてきた様です。
微生物の反応・活動の待ち時間では、学内の他の様々な最新の研究や留学生を支援する施設や現場を見学。3Dプリンターによる製作物や、同大学院の入試に関する助言などには特に関心を示していました。23日夜は研究室の教員や学生たちと一緒にBBQで交流も深めたそうです。
21日には国内最大級のアクアポニックス施設を持つ(株)プラントフォームの見学をしていた一行。24日午後以降も様々な体験や実験・議論・発表の場を重ね、ケニア側と日本側のそれぞれの現場からの視点・体験を通した課題抽出、共同研究で目指すべきゴールのイメージを両国間で共有し、新たなアクアポニックスのパイロットスケールのシステムの設計に取り組むそうです。帰国後の10月・12月にはオンラインでそれぞれのその後の進捗報告会も計画されています。
若く、意欲溢れるケニアの研究者とその卵たち、今回の訪問、そして今後の活動を通して、その夢と可能性が拡がっていくことは間違いないでしょう。