2021年8月のレポート

カザフスタンにおけるCOVID-19の状況

Laura Aubekerova
カザフスタン農業国立大学
(カザフスタン、アルマトイ)

1. 中央アジア、カザフスタン共和国、アルマトイ市からの報告

2. カザフスタンにおけるCOVID-19統計データ

  1. a) 2021年8月23現在、確認された総感染者数:754,891人
  2. b) 同日新たに確認された感染者:428人
  3. c) 同日の現感染者数:124,871人
  4. d) ICUに入院している感染者数:262人
  5. e) 総死亡数:8,643人
  6. f) 同日の新規死亡数:131人

3. コロナウィルスのパンデミックが始まって以来、事業者は大きな制限を受けながらの経営を余儀なくされており、事業活動の収入に大きな損害を与えています。多くの事業体(ボーリング場、ビリヤード場、カラオケ、コンピュータ・クラブなど)は、いまだに活動を再開できていません。上記の事業の完全な閉鎖と、規制の部分的な解除に代わるものとして、パイロットプロジェクト「アシュク(Ashyq)」が開始されました。このプロジェクトでは、訪問者のステータス、つまり現在ウイルスのキャリアであるかどうかを判定します。この「アシュク」アプリケーションは、多くのフィットネスクラブ、スパセンター、サウナなどの受付がある施設で使用されました。

「アシュク」なしで実行できる活動は、以下の通りです。

  1. 1) 建設工事の実施
  2. 2) 一般企業の活動
  3. 3) 非接触型のサービスの提供(洗車、車の修理、家電製品、時計、電話、コンピュータ、靴、縫製工房、ランドリー、ドライクリーニング、鍵作成、家庭生活に密着したサービスなど)、フラワーショップ、フォトサロン
  4. 4) 旅行会社の活動、ビジネスセンターでの特定の種類の活動: (保険会社、弁護士、公証人、会計士、コンサルティングサービス、不動産代理店、広告代理店、執行官、両替所、質屋など)
  5. 5) テイクアウトとデリバリー専用の公共ケータリング施設の活動

「アシュク」に参加する対象者の活動は、平日は20:00または22:00までですが、混雑していなければ24:00までの延長も可能です。

4. 経済を支援するために、政府は危機管理対策パッケージを策定しました。このパッケージには、企業への優先的な融資、影響を受けた経済部門への税の免除、雇用ロードマップの立ち上げ、収入のない市民への給付金の支払いなどが含まれていました。危機管理対策を運用するにあたり、2つのパッケージが採用されました。一時的に収入を失った450万人以上のカザフスタン人が、42,500テンゲの支援を受け、100万人以上が食料や家庭用キットを受け取りました。

5. カザフスタン共和国領内のコロナウイルス感染の拡大防止に取り組むための省庁間委員会は、今年2021年7月27日に一部の都市での隔離措置の強化を決定しました。これは、これらの都市で国内における1日の発症者数の65%、および1日の死亡者数の55%を占めている事実に基づいていました。

  • 中央政府機関、アキマット(地方自治体)、法執行機関、医療機関、マスメディア、食料品店、薬局、生活支援機関を除く、「アシュク」プロジェクトに不参加のすべての企業および組織の活動停止。
  • 娯楽、スポーツ、家族、記念行事、その他の大規模イベントの開催禁止。
  • 国の機関、事務所、国営企業、その他の組織の従業員の80%を遠隔勤務に移行(ただし、ワクチン接種を受けた者と過去3カ月以内に病気になった者を除く)。

2020年の隔離の最初の数ヵ月間は、必需品の購入が観察されましたが、今年はそのような大量購入はありません。人々は主に小麦粉、パスタ、米、ひまわり油、缶詰食品などの製品を購入しました。

6. 違反を摘発する機動力を持つグループが全国で活動しています。首都や地方での違反行為を発見するため、毎日のように家宅捜索が行われ、衛生・隔離基準の遵守が義務づけられています。彼らは市場、カフェ、オフィス、ショップなどをチェックしています。衛生規則の非遵守、社会的距離の違反、マスク着用義務の要件の違反などにより、個人や企業家はパンデミック期間に罰金が課せられます。個人に対する罰金は、30 Monthly calculation index(MCI)(83,340テンゲ相当)195.58米ドル、小規模企業に対する罰金は230 MCI (638,940テンゲ)1499.42米ドル、中規模企業には310 MCI (861,180テンゲ)2020.96米ドル、大規模企業には1,600MCI(4,444,800テンゲ)10430.77米ドルとなっています。罰金額は、隔離違反のレベルによって異なります。MCIは、カザフスタン共和国の法律に基づき、福祉手当やその他の社会給付金の計算と同時に、罰則、税金、その他の支払いの適用に使用されます。1MCIは2,778テンゲに相当します。

7. 上咽頭からの塗抹標本の採取は、2020年9月11日付のWHOの暫定勧告「SARS-CoV-2ウイルス判定のための診断テスト」に基づいて実施されます。ELISA検査は、研究プロトコルに基づいて、新型COVID-19コロナウイルス感染症に対する集団免疫を判定する血清疫学研究で、疫学サーベイランスを目的に実施されます。WHOで検証されたPCRによる患者のCOVID-19検査 は、医療機関または衛生疫学管理委員会の部局での地域部の指示で行われます。PCR検査は無料の場合もありますが、出国する場合などでは検査が有料となり、約7,000~8,000テンゲ(16.43~18.77米ドル)が必要です。

8. カザフスタンにおいて、ワクチン接種は完全に無料で任意です。現在、4種類のワクチンの使用が承認されています。それらは、2021年2月1日から提供されている、ロシアで開発されたGam-COVID-VAC 「スプートニクV」、2月15日から提供されている、カラガンダの工場で生産されたカザフGam-COVID- VAC「QazVac薬」、さらに中国のシノファーム社がUAEで生産したHayat-Vaxワクチン、中国のシノバック・バイオテック社が生産したCoronaVacです。世界保健機関 (WHO: World Health Organization) は、そのうちの2つ、シノファーム社とシノバック・バイオテック社のワクチンを承認しています。カザフスタンでは主にスプートニクVとQazVacが使用されています。

ワクチン接種は、ワクチンの接種者を考慮して段階的に行われます。同時に、まずコロナウイルス感染症の感染や拡大のリスクが高い脆弱な集団がワクチン接種の対象とされ、その後、残りの集団がさらなる対象となります。

現在、コロナウィルス感染症に対するワクチン製造会社の米国ファイザー社(米国)とは合意に達しています。米国ファイザーワクチン配送は10月が予定されています。保健省によると、2021年8月23日現在で、1回接種は6,369,263人、2回接種は5,013,064人となっています。

9. 生姜とレモン、ザワークラウト、セイヨウワサビ、ヨモギ、ハルマラ(Peganum harmala)、カジ (伝統的なソーセージのような食べ物) 、カマズ(馬乳酒)、マトンの尾脂、ニンニク、その他の治療薬がCOVID-19治療薬として人々に使用されています。現在、最も人気があるのは、生姜とレモンを混ぜたものです。また、多くの研究が行われているのが、カマズという、通常は牝馬の乳から作られる発酵乳飲料です。ビタミンや微量元素を豊富に含むこの液体は、体に良い影響を与え、免疫システムを強化し、多くの病気を取り除くことが科学的に確認されています。この薬用飲料は、ボランティアによって感染症病院の病棟に積極的に提供されました。今年の夏は、マトンの尾脂が人気のピークを迎えています。人々は、この脂が肺炎治療に良い薬だと考えています。マトンの尾脂は、店頭価格が2倍になっているにもかかわらず、大量に購入されています。これらの薬はウイルスを実際に治療するものではなく、免疫系をサポートするだけですが、病後のリハビリテーションに役立ちます。

10. 流行が始まった当初から、国内の大企業はCOVID-19との闘いに資金を割り当てるようになりました。企業は資金的に国を支援しただけでなく、車を提供したり、医療従事者に無料の通信手段やインターネットを提供したり、年金生活者の携帯通信料を帳消しにしたり、マスクや手袋、パルスオキシメーター、酸素人工呼吸器、迅速検査、食料などを購入したりしました。また、欧州連合やCDCなど、海外からの支援も受けました。コロナウイルスに対する闘いにおいて、カザフスタン人ボランティアは効果的な支援を行いました。彼らは、学生のための無料英語コースの開催、世界各国の科学論文の無料翻訳・出版、医療機関の監視、医療従事者への食糧提供、人道支援物資の配布など、様々な活動を行いました。ボランティアの献身的な活動のおかげで、この国は最も過酷な2020年の夏を何とか乗り切ることができました。

11. 貿易業に従事していた人々はしばらく仕事がない状態が続きました。これは財政問題を引き起こしました。

新しい形式による教育では、最初から、業界のデジタル化が進んでいないことに関連する問題が明らかになりました。誰もが高品質のインターネットや、勉強に必要な設備にアクセスできるわけではありませんでした。今、カザフスタンの教育システムは、遠隔教育をより積極的に展開する必要に迫られています。

今回のパンデミックでは、専門家不足や病院の設備不足など、慢性的な衛生上の問題が露呈しました。カザフスタンでは、この流行に対する準備が1月から行われていたにもかかわらず、春には病院でも薬局でも個人用の保護装備が不足していました。さらにその後、7月のピーク時には、カザフスタン人は医薬品・PCR検査の急激な不足、病院の大混雑に直面し、救急車はすべての電話に対応する時間もありませんでした....。

良い影響としては、道路を走る車が減ったことで、カザフスタンの都市のいくつかでは環境が改善されたことが挙げられますが、厳しい隔離が終わるとすぐに大都市では都市スモッグが再発しました。

12. カザフスタンには2種類のワクチンがあります。

カザフスタンで生産された最初の国産ワクチンは、VERO細胞培養で培養された全ビリオンSARS-CoV-2ウイルスをホルムアルデヒドで不活化した後に4次精製を経て、水酸化アルミニウム免疫賦活剤/アジュバントを添加したものでした。このワクチンが現在、カザフスタンで使用されています(QazCovid-in ®:COVID-19不活化ワクチン)。

その後、カザフスタンでは、別のCOVID-19ワクチンである「QazVac」が開発されました。これは、組換えプラスミドDNA pET / RBD、pET / Nを大腸菌ER2566株に組み込んで、コロナウィルスSARS-CoV-2の組換えタンパク質RBD(タンパク質Sの受容体結合ドメイン)とN(ヌクレオカプシドタンパク質)を産生させて製造したサブユニットワクチンです。これらのタンパク質が、ワクチン製造に使用されています。このワクチンは現在、承認申請中です。

写真1:COVID-19の感染者と接触者の管理を目的とした「アシュク」アプリケーション
写真2:ショッピングセンターや娯楽施設の中に設けられたワクチン接種会場
写真3:入口で「アシュク」を利用しているショッピングセンター来場者
写真4:公共の場所で食事をする人々

注)原文からの和訳はJSTによるものです。正確な表現やデータについては、英語原文をご参照ください。(原文はこちら