開催報告
開催日時 | 2023年1月23日(月)13:00 – 16:30 |
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開催場所 | ホテル椿山荘東京 |
主催 | 科学技術振興機構経営企画部 さくらサイエンスプログラム推進本部 |
国立研究開発法人科学技術振興機構 さくらサイエンスプログラム推進本部(SSP)では、2023年1月23日、ホテル椿山荘東京にて「日印大学等フォーラム」を開催しました。本フォーラムは日印の協力を一層促進するための交流基盤の形成を目的として開催されたもので、日印のトップ大学の学長級32名(日本側22名、インド側10名)が出席しました。
日本とインドは1952年の国交樹立以来、70周年となる長い友好の歴史を持ち、日米豪印(QUAD)などを通じた外交上の戦略的なパートナーです。科学技術・イノベーション(STI)の面においては、インドはAIを含むICTや宇宙・原子力技術をはじめ多くの分野で高いポテンシャルを有しており、日本は基礎科学、材料、ライフサイエンス、環境等の分野で世界を牽引しています。しかしながら、STI分野においての現状の日印交流は必ずしも十分ではなく、今後は、双方が国際的に重要な役割を果たしていくことが喫緊の課題です。
本フォーラムでは、課題の解決に向けて、両国のトップ大学や機関の学長、総長らが一堂に会し、幅広い研究交流、留学を含む頭脳循環を拡大させるなど、STI分野からの「開かれたインド太平洋」連携へのアプローチを探ることを目標としました。
第一部の講演では、「日印交流の実績、成果・教訓、今後の方向性と課題」について、日印双方の大学長等が現状と展望を報告しました。また、第二部の円卓会議では「日本とインドにおける若手イノベーション人材の育成と交流」というテーマで、①両国間の若手人材交流を発展させていく際の課題と解決方法 ②日印間で協力が期待される交流の分野、方法、必要な環境 など、具体的な内容に踏み込んだ討議を行いました。
「開かれたインド太平洋」連携構築に向けた、新たなる第一歩を踏み出すための宣言文を採択し、第2回目の開催へ向けての意志を確認して成功裏に本フォーラムは閉会しました。
プログラム
第一部 | ||||||||||||||||||||
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第二部 | ||||||||||||||||||||
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日印大学等フォーラム 宣言(2023年1月23日)
日本とインドは、インド太平洋地域における平和的で、開かれ、公正で、安定した規則に基づく秩序の実現のため、「価値を共有する国」として、戦略的協力関係を築いてきた。また、2022年は日印国交樹立70周年を迎え、今後も多方面に亘る一層強力な連携と協力が必要である。2023年1月23日、インドの10大学、日本の22大学及び関係機関の総長や代表は日印大学フォーラムを開催し、今後の両国の連携の強化に向けた議論を行った。日本とインドは、従来より強い経済関係を構築してきており、私たちは今後とも安全保障の分野を始め、広範な分野での協力を進めていくことの必要性を認識するとともに、双方の将来の発展の基盤を形成する若い人材の育成、大学間の連携を推進していくことが重要であることを確認した。
本フオーラムを通じて、我々は、科学技術が今後の国際社会経済の大きな牽引力として機能することを認識し、両国の科学技術発展にとって相互の連携協力が不可欠であることを理解し、両国の研究協力・人材交流のさらなる発展の重要性を確認した。これを踏まえ、我々は、以下の通り結論をまとめた。
- 参加者は、本フオーラムを通じて、各大学による日印間の共同研究・人材交流の取り組み及び関係機関による交流促進のための活動を通じて得られた輝かしい成果に触れ、これを高く評価するとともに、これを発展強化する努力を支持する。
- 参加者は、 ICT 分野をはじめとする多くの科学技術分野のみならず、人文社会科学の分野においても優秀なインドの若者に対して日本における留学や研究に携わる機会が提供 され 、また日本の研究者がインドにおいて教育・研究に取り組むことが促され、これら国際的な頭脳循環により、両国の科学技術イノベーションの発展を主軸とした包括的で対等なパートナーシップの構築に資することの重要性を認識し、このための努力を奨励する。
- 参加者は、日本とインドとの間における研究・人材交流を今後、一層強化・拡大することを支持し、このための方策の一つとして科学技術振興機構から提案された、「日本との研究・人材交流に興味のあるインドの大学生等が、さくらサイエンスプログラムを活用して、日本の大学等で体験する機会を提供する」との新たな提案は、両国にとって重要であり、参加者は、これに賛同する。
- 参加者は、両国間の協力の発展を議論し、促進する機会としての本フオーラムの重要性を認識し、今後の継続を支持する。本フォーラムの第2回は今後1年程度を目処に開催することとし、 科学技術振興機構が関係機関の協力を得て決定し、 準備していくことを確認した 。
日印大学等フォーラム参加者名簿
1. インド側(計11名)
・アンナ大学学長 | R.VELRAJ |
・アンナ大学国際センター長 | S. Moorthy Babu |
・インド工科大学ボンベイ校学長 | Subhasis Chaudhuri |
・インド工科大学デリー校副学長 | Ambuj Sagar |
・インド工科大学グワハティ校学長 | P. K. Iyer |
・インド工科大学ハイデラバード校学長 | B.S.Murty |
・インド工科大学ハイデラバード校助教授 | Kotaro KATAOKA |
・インド工科大学カンプール校副学長 | Subramaniam Ganesh |
・インド工科大学カラグプル校学長 | Virendra Kumar Tewari |
・インド工科大学マドラス校筆頭学部長 | Koshy Varghese |
・ジャワハルラール・ネルー大学学長 | Santishree D. Pandit |
2. 日本側大学(計22名)
・北海道大学総長 | 寳金 清博 |
・東北大学総長 | 大野 英男 |
・筑波大学学長 | 永田 恭介 |
・東京大学総長 | 藤井 輝夫 ★ |
・東京大学副学長 | 林 香里 |
・東京工業大学学長 | 益 一哉 |
・慶應義塾大学塾長 | 伊藤 公平 |
・慶應義塾大学教授 | ショウ・ラジブ |
・芝浦工業大学学長 | 山田 純 |
・早稲田大学国際担当理事 | 弦間 正彦 |
・横浜国立大学学長 | 梅原 出 |
・新潟大学副学長 | マドスーダン・サティッシュ・クマール |
・長岡技術科学大学学長 | 鎌土 重晴 |
・岐阜大学学長 | 吉田 和弘 |
・静岡大学副学長 | 近藤 真 |
・名古屋大学総長 | 杉山 直 |
・京都大学総長 | 湊 長博 |
・立命館大学総長 | 仲谷 善雄 |
・大阪大学総長 | 西尾 章治郎 ★ |
・大阪大学副学長 | 尾上 孝雄 |
・広島大学学長 | 越智 光夫 |
・九州大学総長 | 石橋 達朗 |
3. 日本側機関(計4名)
・国際協力機構理事 | 井本 佐智子 |
・産業技術総合研究所理事長 | 石村 和彦 ★ |
・産業技術総合研究所執行役員 | 田村 具博 |
・物質・材料研究機構理事長 | 宝野 和博 |
★ 交流会のみ出席