第8回アフリカ開発会議(TICAD8)公式サイドイベント 日本・アフリカ大学交流会議

 科学技術振興機構(JST)は、国際協力機構(JICA)、筑波大学、日本・アフリカ大学連携ネットワーク(JAAN)との共催により、第8回アフリカ開発会議(TICAD8)公式サイドイベント「日本・アフリカサイエンスイノベーションウィーク 日本アフリカ大学交流会議」を開催した。

 本イベントは8月22日、Zoomミーティング及びウェビナーにてライブ配信された。南アフリカ、チュニジアなどのアフリカの36か国・地域を含む44か国から263名が参加した。本イベントは2部構成とし、第1部は全体会議、第2部は学長円卓会議として日本とアフリカから21大学の参加により行われた。

集合写真

■第1部(全体会議)

 JSTの橋本和仁理事長からの主催者挨拶で幕を開けた。橋本理事長からは両地域が互いを重要なパートナーとして位置づけ、緊密な連携のため人材交流を行っていくことの重要性や、その達成に向けて2023年度以降、さくらサイエンスプログラム(SSP)を通じてアフリカからの招へいを進め、将来に向けては年500名を目標として拡大することを目指す旨を話された。井出庸生文部科学副大臣からの来賓挨拶においては、両地域の交流を量的、質的に強化するためには、人的交流の活性化を通じた相互理解の深化が非常に重要である旨が指摘された。

橋本和仁 JST理事長
橋本和仁 JST理事長
井出庸生 文部科学副大臣
井出庸生 文部科学副大臣

 講演においては、松本洋一郎外務大臣科学技術顧問より、ポストコロナを見据えたSSPのアフリカへの拡大の意義や、アフリカと日本双方に理解を持つ研究者が、共同で世界の諸問題の解決に当たることの重要性を指摘された。エジプト日本科学技術大学のアムル・アドリー学長からは、同大がSTI分野でアフリカの大学と日本の大学及び産業界及び政府との橋渡しという重要な役割を担っていることが話された。筑波大学の永田恭介学長からは、日本の大学によるアフリカとの関係づくりや継続的な学術交流においては、情報/知見/人的資源/経験の不足に起因して、パートナーを見つけることの困難さを指摘した。また、既に関係が構築されているJAANなどを活用した、組織的ネットワークを利用した新しく開かれたコラボレーションの必要性などを提言された。ケニア国立ジョモ・ケニヤッタ農工大学ヴィクトリア・ワンブイ・ングミ学長からは、日本政府の支援により、アフリカの人的資源の育成と日本への理解の促進がなされている点や、高等教育とSTI分野で、JICAを通じ日本政府とパートナーを組むことを通じた、産業界との先端研究のさらなる発展への期待を話された。

エジプト日本科学技術大学 アムル・アドリー 学長
エジプト日本科学技術大学
アムル・アドリー 学長
ケニア国立ジョモ・ケニヤッタ農工大学 ヴィクトリア・ワンプイ・ングミ 学長
ケニア国立ジョモ・ケニヤッタ農工大学
ヴィクトリア・ワンプイ・ングミ 学長

 講演を受けて、JSTからはSSPのプログラム概要説明の後、同プログラムを通じて2023年度から継続的にアフリカから高校生、大学生、大学院生、若手研究者等を招へいし、その招へいを将来に向けて年500名を目標として拡大することを目指す旨の提言がなされた。本提言を受けて、「Declaration for the Japan-Africa University Exchange Conference 2022仮訳:日本アフリカ大学交流会議2022 宣言)」についての確認がなされた。参加大学をはじめとした参加者からの賛同と拍手を受けて本宣言は採択され、第1部は終了した。

■第2部(学長円卓会議)

 2つのグループに分かれて大学紹介及びディスカッションが行われた。ディスカッションでは、修士、博士の人的交流の必要性や、SSPや地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)などのプログラムを活用した両地域の大学の学術/人材交流をリードすることの重要性、人材交流は小規模でも多数の好事例を積み重ねることが重要である観点からSSPが有効である点などの意見が寄せられた。

学長円卓会議グループA
学長円卓会議グループB

 閉会挨拶では、JSTの甲田彰理事より本イベントを契機とした実際の大学間交流への期待が述べられ、会は盛況の中、終了した。