台湾におけるCOVID-19の影響:ある台湾人の観測
Tai-Ting Chen
2020年4月26日
台湾疾病管理センターで最初に確認された新型コロナウイルス(COVID-19)の症例を発表してから97日経ちました。本文を書いている時点で、6例の死亡例と275例の回復例を含む、合計429例の確定例が報告されています。台湾政府は、新型コロナウイルスのパンデミックの課題に取り組むために、戦略的な展開かつ迅速な対応を実施してきました。
個人による健康管理は感染予防と病原体の伝播阻止において、重要な役割を果しますが、マスクを皆に行き渡らせるため、また公正な購入機会を確保するために、政府は各界に呼びかけ、マスクチームを編成し、高品質のフェイスマスクを全力で製造させました。現在、人々はマスクを購入する際には、薬局で国民健康保険証を提示するか、eMask というアプリを使ってオンライン予約することが出来ます。現時点ではこの方法を使って台湾人1人当たり、14日間ごとに9枚のマスクを購入することができます。マスクの値段は1枚当たり5台湾元(US$0.17)です。さらに、政府は毎日、記者会見を開き、新型コロナウイルスの国内感染状況を国民に報告し、また、個人的な衛生環境の維持と健康習慣の改善についても人々に伝えました。これらの頻繁な政府の公式発表によって、人々が政府に対する信頼を高めるだけでなく、噂や誤解によるパニックを回避しています。
その後、台湾はCOVID-19ウイルスの拡散のリスクを減らすための効果的な手順を実行しました。台湾に戻る旅行者は、14日間の家庭での検疫の対象となります。政府は健康管理システムにより、確認された感染者と接触した人を特定するために接触追跡システムを構築し、自宅での隔離期間を14日間とするよう義務付けました。検疫と接触者の追跡により、中央政府と地方政府は散発的および集団発生を制御するための努力を惜しみません。
さらに、政府は潜在的な感染連鎖を防ぐために公共の場所における混雑を管理する措置を課しました。市民は屋内空間において少なくとも1.5メートル、屋外では最低1メートルのソーシャルディスタンスを保つように促されます。病院、交通機関、政府機関、観光スポットなどの公共スペースに入るときは、体温チェック、手洗い、マスクの着用が必須となります。
COVID-19のパンデミックは確実に台湾で広範囲に影響を与えましたが、そのための制限またはポリシーは、流行の状態に応じて決められる必要があります。私も常にフェイスマスクを着用し、屋内での集会を回避しています。 ウイルス感染のリスクを最小限に抑えるために、私の家族はほとんどの台湾人と同じように、休日はなるべく家にいること、持ち帰り用の食事を注文すること、自宅で料理をすること、そして、オンラインで買い物をするようにしています。その結果、一部のデパート、劇場、レストラン、エンターテイメントセンターでは、営業時間が短縮され、閉店に追い込まれている所もあります。社会的イベント、スポーツ大会、経済活動はキャンセルまたは延期されています。
これらの消費パターンとトレンドの構造的変化が、観光、運輸、ホテル、小売業界、飲食業界などのサービス産業にかなりの経済的損失を引き起こしました。ウイルスの発生状況とそれに対する治療方法のの研究開発が不確実であるため、金融ビジネスや投資環境が弱体化します。 COVID-19の影響を緩和し、産業を活性化するために、政府は財政支援と資源分配の対策を実施しました。最後に台湾政府、医療機関、研究所、民間企業、一般市民が協力し、COVID-19パンデミックがもたらした前例のない社会の混乱に対抗して行かなければなりません。
注)原文からの和訳はJSTによるものです。正確な表現やデータについては、下記の英語原文をご参照ください。
The impact of COVID-19 in Taiwan: a Taiwanese Observation