チリにおけるCOVID-19の状況
Karina Boillot Villegas
Liceo Bicentenario Óscar Castro Zúñigaの英語教員
(メンター、チリ)
私たちの国は南米にあり、国名はチリです。私はチリ南部のランカグア市に住んでおり、
「Liceo Bicentenario Óscar Castro Zúñiga」 という名前の高校で働いています。
2021年8月31日現在のチリにおけるCOVID-19の統計
- a) 確認された総感染者数:1,638,675人
- b) 当日に新たに確認された感染者数:345人
- c) 当日の現感染者数:5,991人
- d) ICUに入院中の重症/重篤な感染者数:687人
- e) 総死亡数:36,937人
- f) 当日の新規死亡数:14人
チリには「Integrated Network of Health」(保健統合ネットワーク)があり、居住地域に関係なく利用できる、合計547の重症患者用ベッドが必要な患者さんのために用意されています。
私の国でのパンデミックの最大の問題は、経済だと思います。多くの必需品が値上げされ、労働者の給料が下がっているからです。このパンデミック状況に直面して、多くの人が解雇され、新しい仕事を見つけたり、職業的に再起したりしなければなりませんでした。
政府が採用した対策は、例えば、密閉されたあるいは開放された公共空間でのマスクの使用を義務付けるというものでした。もうひとつの対策は、2020年から実施されている夜間外出禁止令で、夜12時以降は外出を控え、家にいなければならないようになっています。
隔離措置も行われており、月単位で長期に及んでいます。居住地域や、パンデミックによる現感染者数や感染状況に応じて、全体的または部分的な隔離になります。また、政府が行った他の対策には、集団予防接種があり、これは、各国民の年齢層や基礎疾患に応じて実施されています。
例えば、8月には65歳以上の方が、2月と3月に接種されたワクチンとは必ずしも同じではないワクチンのブースター接種(追加免疫)を受けています。
私の居住するランカグア市では、ワクチン接種を受けた住民の割合が80%を超えました。パブ、ディスコ、レストラン等の場所では、ワクチンパスポート、つまり、ファイザーやシノバックのワクチン接種スケジュールを完了した人たちを受け入れています。
私は、政府が採用した対策は、国民がそれを採用し、国民自身のものとする限りにおいて、有効であったと考えます。私たちの国では、風邪をひいても、病気になっても、マスクをしたことがありませんでした。
政府は、経済的資源が最も少ない人々、特に仕事がない人々に援助を提供してきました。そのような支援は、IFE 「Ingresos Familiares de Emergencia」(緊急時の世帯収入)と呼ばれています。これは、仕事を持っていない、あるいは給与が80万チリペソ (約1,000米ドル) 未満の家族の各メンバーに与えられます。
また、事業をしているにもかかわらず、大規模な隔離措置のために営業できなかった人々にも、資金援助が行われています。これは、PYME「Pequeñas y Medianas Empresas」(SME,中小企業)と呼ばれる企業に国から支給された補助金です。
現在、海外から入国する人々には強制隔離が適用されています。これは、強制的な11日間の隔離で、指定された隔離ホテルに滞在するための費用を支払わなければならず、すべての健康上の予防措置が課されます。
チリの多くの都市では、約1年前からロックダウンが行われていましたが、これらは各都市での感染者数に依存していました。
チリでは、基本的に刑罰は最低限度のものから始まり、違反を繰り返すごとに増えていくことを覚えておく必要があります。隔離措置や衛生措置を遵守しなかった者に対する懲役は最低で61日~540日、最高で3年で、罰金は6~200 UTM(月間課税単位;約30万~1000万チリペソ)です。UTMとは、毎月更新される単位で、チリ政府が使用しています。チリ政府では、インフレに対して金額が自動的に調整されるように、当局による金融取引が行われています。
国レベルでの強制隔離は、COVID-19の症例が最初に発見されてから約1年間続きました。
必要不可欠な産業、例えばスーパーマーケットや食料雑貨店など、食料品を供給する業種などはすべて営業を続けていました。しかし、例えばスーパーマーケットに行くには、バーチャル警察署に特別許可を申請しなければならず、それには約2時間かかります。
この隔離に対する一般市民の反応には、当初は多少の苦痛と悲しみがありました。しかし、後になって、それは私たち自身のためであり、同時に私たちの健康を守るためであると考えられるようになりました。
隔離あるいは自由の制限が始まる前の大量のまとめ買いは、トイレットペーパー、アルコールジェル、マスク、塩素系洗剤、第四級アンモニウム塩消毒剤等の清浄用品購入で発生しました。
その後、経済が活性化すると、テレビやコンピューターなどの基本的な電気製品を購入するようになりました。
マスクを着用しない場合の罰則は、罰金の支払いから、ショッピングモールやレストランなどに立ち入れなくなることまで様々です。
職場などの密閉空間や公共交通機関、医者や病院への通院などでは、三つ折りマスクの使用が義務付けられています。
身体的距離はチリでは1.5m~2.0mに設定されています。
COVID-19感染を知るための診断方法はPCRであり、医療支援センター、学校、ショッピングモール、スーパーマーケットなど、国内の様々な場所において無料で実施されています。
7月から8月にかけて新しい変異株が検出され、これはデルタ変異株でした。
チリの総人口を考慮すると、人口の80%がファイザー、シノバック、カンシノのいずれかのワクチンを接種しています。さらに、チリでは、政府が様々な機関と協定を結んでいるため、COVIDに対するワクチンは無料で提供されています。
チリでは、COVIDに対抗するために奨励される伝統的なハーブやその他の代替治療はありません。すべての処置はワクチンや治療薬などで行われ、政府が提供してくれたものです。
チリでは、NGO(非政府組織)やその他の慈善団体が、パンデミックに直面している貧しい家庭や不幸な家庭を支援するための活動を始めたという話は聞いたことがありません。
学生の授業は、昨年からオンラインで行われていたはずです。これは主に公立学校で行われています。というのは、私立学校では教室の中でオンライン授業と対面授業が組み合わせて行われているからです。
現在、授業はハイブリッドモードで行われています。わずか12人ないしは15人のグループが直接学校に通い、残りの生徒は自宅でコンピューターに接続し、教師はコンピューターに接続されたカメラの前で授業を行います。
今回のパンデミックの良い影響(と呼べるかどうかはわかりませんが)は、ロックダウンや強制的隔離の間に、家族間のつながりをより深めることができたことです。個人的には、ビデオ通話やSkype、Zoomなどのアプリを使ってコミュニケーションをとっていましたが、家族や友人とのつながりを深めることができました。
負の影響として、COVIDによって大切な人の命が失われ、ほぼ壊滅状態になってしまった観光産業やエンタメ産業のようなパンデミックに間接的に関連する業界で働く多くの人々が収入を失いました。
注)原文からの和訳はJSTによるものです。正確な表現やデータについては、英語原文をご参照ください。(原文はこちら)