2021年8月のレポート

バングラディシュにおけるCOVID-19最新情報のレポート

Saifur Rahman、獣医師、理学修士(微生物学)
Bangladesh Agricultural University(バングラデシュ農業大学)微生物学・衛生学部准教授
(バングラデシュ、マイメンシン)

私は日本の「さくらサイエンスプログラム 2017」に幸運にも参加しました。私は現在、バングラデシュのマイメンシン-2202に住んでいます。

このレポートを書いている現在、バングラデシュはCOVID-19パンデミックの第2波の中にあり、デルタ変異株が優勢であることがわかっています。2021年8月29日現在のバングラデシュにおけるパンデミックの状況(保健サービス総局による)は、以下の通りです。a) 確認された感染者の総数:1,493,537人、b)同日新たに確認された感染者数:3,984人、c) 同日の現感染者数:51,825人、d) ICU入院中の感染者数:1,089人、e) 総死亡数:26,015人、f) 同日の新規死亡数:89人。

バングラデシュは人口過密の低中所得国ですが、経済は成長しています。COVID-19パンデミックは、衣料産業や農業など、経済の中核に深刻な影響を与えています。このパンデミックは悪夢としか言いようがなく、低中所得者の多くが職を失い、貧困ラインを超える恐れがあります。生命と生活のバランスを取ることは、政府にとって最も大変な仕事でした。バングラデシュ (BD: Bangladesh) 政府はパンデミックを抑制するために以下のような多くの措置を講じてきました。

  • 産業界 (主に衣料品部門) の損失を克服するために金融パッケージを提供してきました。
  • 地方政府の代表者がリストアップした貧困層の人々のモバイル銀行口座に直接資金を提供してきました。
  • 市場での移動裁判の実施を通して、生活必需品の価格をコントロールするための主導的な役割を果たしてきました。
  • 農村部や都市部でのCOVID蔓延を抑制するため、最大の宗教的祭典 (Eid-al-Adha) の前後に期間を変えて、完全なロックダウン、シャットダウン、活動制限など、様々な名称でロックダウンを実施しました。
  • 人々と車両の移動を制限しました。人々は緊急時にのみ外出を許可されました。
  • レストランは宅配のみの営業としました。ショッピングモールを閉鎖しました。遊園地や観光地、映画館などの娯楽施設を閉鎖しました。
  • ロックダウンの期間中に、規則を無視した者には罰金を課し、時には刑務所に拘留しました。しかし、一般大衆は食料品を買うお金が足りず、ロックダウンにしびれを切らしていました。
  • 学生の健康を優先するため、当初は教育機関を閉鎖していました。しかし、教育継続のためにオンライン学習を採用しています。政府は学生にワクチンを接種し、学校や大学を段階的に開校させる取り組みを実施しています。
  • 政府、非政府機関、民間のオフィスや銀行は、ほとんどの場合にはサービスを提供していました。
  • 衣料産業の経済的重要性を考慮して、シャットダウン期間中を除いて工場に対しては規制を設けませんでした。

バングラデシュ政府がとった様々な措置が精査されていますが、それでも感染率を下げるためのいくつかの対策が見つかっています。

バングラデシュでは、RT-PCR、GeneXpert、Antigen Testingが、COVID-19の診断に使用されています。政府の検査センターでは100 BDT(バングラデシュタカ)を支払う必要がありますが、民間病院では1,500~3,500 BDTが必要です。家庭からサンプルを収集する場合は、政府のサービスに追加で100 BDTを支払う必要がありますが、民間サービスでは500~1,000 BDTが必要となります。

バングラデシュでは、2021年1月27日にCOVID-19ワクチンの投与を開始し、2021年2月7日に集団接種を開始しました。政府は、バングラデシュの人々に無料でワクチンを提供しています。これまでのところ、バングラデッシュは、オックスフォード-アストラゼネカ、ロシアのスプートニクV、中国のBBIBP-CorV(シノファーム)、ファイザー-バイオンテック、モデルナワクチンについて、緊急使用のみを承認しています。現在(2021年8月28日)までに、バングラデシュの人々はオックスフォード-アストラゼネカ、シノファーム、ファイザー-バイオンテック、モデルナのCOVID-19ワクチンの接種を受けており、総人口の約11%(18,070,967人)が少なくとも1回目の接種を受け、約4.6%(7,639,793人)が2回目の接種を受けています。

今回のCOVIDパンデミックでは、政府、国内外のさまざまなNGOやNPO、実業家、政治家、教員連盟などのコミュニティ、学生団体が、全国の貧しい人々を支援するために貢献しました。

特にバングラデシュのように、パンデミック以前はオンライン学習があまり普及していなかった国では、学生が大きな被害を受けています。デバイスの利用不可、貧弱なインターネット接続、訓練された人材の不足などの様々な障壁を克服して、オンライン学習を導入するには時間がかかりました。バングラデシュの大学助成委員会は、大学生にデバイスのための長期低利ローンを提供し、政府は携帯電話会社に、学生がZoomやGoogle classroomなどのさまざまなプラットフォームを利用できるよう、低価格のインターネットパッケージを提供するよう要請しました。とはいえ、実地の授業では、克服しなければならない課題が提起されています。現在、学生のための予備的なアイデアとしてビデオチュートリアルを配信しており、彼らが実践的な学習に参加できる良い日が来ることを待っているところです。

COVIDパンデミックは、様々な形で世界を変えています。悪いこともたくさんありましたが、私の人生にはCOVIDによる良い影響もあります。先日、私は自分の研究成果を発表し、博士号の指導者を見つけるために英国に手紙を書きました。嬉しいことに、イギリスのオックスフォード大学で博士号を取得するための奨学金を得ることができ、今年の10月からのコース開始に向けて準備をしています。どうか、私のために祈っていて下さい。

ワクチン接種を受ける著者
大学の学部で行われた対面による緊急ミーティング
大学スタッフによるキャンパス周辺の貧困層への支援
大学内でのフェイスマスク着用の啓蒙活動
大学スタッフがCOVID患者を支援するために酸素ボンベを最寄りの政府系病院に寄贈

注)原文からの和訳はJSTによるものです。正確な表現やデータについては、英語原文をご参照ください。(原文はこちら