2019年度 活動レポート 第441号:弘前大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第441号

中央アジアの若手研究者・教員のための「雪」をテーマにした研修プログラム

弘前大学からの報告

2020年2月13日から22日の10日間、「さくらサイエンスプログラム」の支援により、降雪に関するワークショップを弘前大学理工学研究科にて開催しました。さくらサイエンスに採択していただいたのは前年度(2018年8月)に続き、2回目です。APHRODITEという私たちが作成している降水グリッドデータに関する研修プログラムとして実施しました。

今回は「雪」をテーマに、中央アジア、寒冷域から合計15名を招へいしました。ワークショップ終盤の2月19日から21日に、学内予算により米国・ロシア、国内の若手を含む雪の専門家を招いて「北ユーラシアの積雪変化とそのモデリングに関する国際ワークショップ (International workshop on snow cover changes and its modeling over Northern Eurasia)」を開催し、さくらサイエンスの招へい者もこれに参加し、一流の研究者との意見交換を行うほか、それぞれの機関の活動を紹介するポスター発表を行いました。

弘前大学屋上にて。背景の山は岩木山。

2月14日

研究科長挨拶、主催者(谷田貝)による概要説明後、計算機に触れて、APHRODITEデータをダウンロードして降水量分布図を作成しました。

2月15日

雪の観測について石田准教授による実習を行いました。

雪の観測について、石田准教授の説明を受けているところ。
積雪断面観測について、弘前大学屋上にて石田准教授の説明を受けているところ。

2月16日

文化体験で、弘前ねぷた村、弘前公園(弘前城)を散策しました。

2月17日-18日

計算機室でAPHRODITEデータを作成しました。

2月19日-21日

弘前大学の学生のほか、Pavel Groisman(米国)、Sergey Sokratov(ロシア)、東京大学、東北大学、慶応大学、京都大学からの参加者ら計40数名の国際ワークショップに参加、さくらサイエンス招へい者もポスター発表しました。

国際ワークショップでのポスター発表。左の発表者(男性)は弘前大学大学院生、右端の女性(発表者)はスペインからの参加者。そのほかの3名が、さくらサイエンスプログラムによる、ウズベキスタン気象庁からの参加者。

今回のさくらサイエンスプログラムの支援による参加国は、ウズベキスタン(3機関各3名)、キルギス共和国(1機関4名)、ネパール(1機関2名)で、関連テーマを研究している国内の留学生(ウズベキスタン、キルギス共和国、ロシア)も参加しました。ウズベキスタンの一機関(サマルカンド農業学院)は、弘前大学の農業生命科学部とすでに交流をしていますが、今回その参加者や、別の参加者から、弘前大学の理工学研究科の気象学研究室とも交流したいとの意向が示されました。

ワークショップ開催前は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染爆発は中国以外では発生しておらず、また今回中国からの参加者がなく、また誰も中国を経由しなかったことも幸いし、予定通りの行程で全員が研修を終えることができました。開催期間中に、日本国内で感染者が発生しましたが、参加者はCOVID-19に関連した制約をほとんど受けることなく、空港、東京、弘前にて過ごすことができました。彼らの帰国した3日後から、ウズベキスタンは完全に海外からの入国が出来なくなったとのことです。

タイミング的に、奇跡的に開催できたワークショップでした。途上国では特に、face-to-faceのcommunicationが必要とされるので、この事業により、人格のふれあいを通じた国際ワークショップを持てたことは、今後COVID-19問題が解消された世界においての、国際交流の礎となったと思います。さくらサイエンスプログラム、関係者のご協力に深く感謝します。

修了式後、さくらサイエンス招へい者15名と、谷田貝(前列)、石田(後列右から3番目)