活動レポート

2019年度活動レポート(一般公募コース)第429号

スマート・コミュニティー技術の実例と展開を学ぶ

木更津工業高等専門学校
准教授 SAPKOTA ACHYUTさんからの報告

 バングラデシュのジャハンギルナガル大学、ネパールのトリブバン大学工学院からそれぞれ教員1名と学生3名、およびシンガポールの5つのポリテクニック(ナンヤン、ニーアン、リパブリック、テマセク、シンガポールポリテクニック)より学生10名の合計18名の招へい者は、2019年12月16日(月)に来日しました。当日午後に木更津工業高等専門学校でオリエンテーションを行い、その後の6日間、本交流事業のテーマ「スマート・コミュニティー:技術、実例と展開」を中心に研修活動を行いました。

 バングラデシュは2010年以降、経済と社会発展を継続しており、近い将来、都市に住む人口は急激に増加することが予測されています。それに備えてスマートグリッド、デジタルコネクティビティ、スマートシティ等の課題も政府の戦略にありますが、そのような課題に取り組む人材育成が未だ進んでいません。

 同じく、インドと中国の間に挟まれているネパールは、2015年に大地震に見舞われ、交通とライフラインのインフラが乏しい現状で、大震災からの復興が遅れています。災害等に備えた新たな街づくりが、国と自治体の中期計画にありますが、具体的な取組を担うことのできる人材が不足しています。

 上述の国と異なり、シンガポールは次世代の技術開発、特に新興国へ向けたベンチャー、高齢化社会に関する課題等を身につけた人材の育成に必要な教育の環境(地域、コミュニティーレベルの課題を選定できる環境)整備に取り組んでいます。したがって、今回の活動は、実例を中心とした講義・視察と、展開としてプロトタイプ設計を含めた集中的な研修を行いました。

 実例としては、木更津高専生による「獣害対策システム」と千葉大学拠点植物工場」に使用した技術の基礎的説明と見学を行いました。「獣害対策システム」はイノシシによる獣害を防ぐためのIoTを活用した総合的システムです。イノシシによる獣害を防ぐために、猟師が山でイノシシ狩りをし、自治体がそれを補助するというエコシステムが成り立っています。招へい者にとってはIoTシステムの基礎から、社会問題への適用、自治体の連携と起業ベンチャーまで学ぶことができる実例となりました。

 一方、植物の生育環境を制御して栽培を行う園芸施設である千葉大学拠点植物工場では、高度な「統合環境制御」と「生育予測」について学ぶことができました。また同施設を中心に共同研究を実施している木更津高専の教員は、植物工場、環境問題と関連するビジネス、消費者等の経済的視点を背景に、「持続可能な食糧経済」のテーマでブレーンストーミングセッションを提供し、さらに人工知能の農業活動への応用について関連企業の方が最先端技術と商品について講演を行いました。

柏の葉植物工場の見学
講演会の様子

 このような講義と見学を含めた活動は、日本人学生と招へい学生の混合チームを構成しグループワークとして実施しました。そして社会的問題を選定し、解決の方法を考えたうえで、プロトタイプの設計を行いました。具体的には、・人工知能を活用した交通流動の管理、・IOTを活用した建物の構造的損傷のモニタリング、・スマート家電を含めたスマートホームの新局面、等のテーマでの商品およびビジネスモデルのプロトタイプの設計です。最後は口頭でプレゼンテーションを実施しました。

グループワークおよびブレーンストーミングセッションの様子

 また、日本の教育機関の研究活動内容の現状を理解させ、今後の交流を深める目的で、木更津高専生の課題研究、卒業研究、招へい者の母国での活動内容を紹介するポスター発表会(効果的工学教育ワークショップ)を企画しました。日本人学生と同等のレベルの研究活動を体験し、日本への留学の可能性を検討する場になったと考えられます。

ポスター発表会の様子
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