活動レポート

2019年度活動レポート(一般公募コース)第387号

持続可能社会に貢献する革新的エネルギー変換材料創出に向けた人材育成プログラム

東京理科大学からの報告

 2020年2月2日~11日の10日間にわたり、マレーシア・マラヤ大学から8名、厦門大学マレーシア校から7名の学生と研究者を招へいしました。

 マラヤ大学は、マレーシアの首都クアラルンプールに位置し、マレーシア随一の最高学府として最も長い歴史を有する総合大学です。309ヘクタールの広大なキャンパスを有しており、12学部、約14000人の学生と約3000人の教員を擁します。国の将来を担う人材を育成し、未来の国家基盤を築くことを目的に設立された由緒ある大学であることから、多くの政治家や各界のリーダーを輩出しているほか、科学技術分野における研究においても目覚ましい進展を遂げています。

 厦門(アモイ)大学マレーシア分校は、厦門大学(中国)が2016年に開設したマレーシア校です。厦門大学は、中国福建省に位置する国立総合大学であり、約40,000人の学生を擁します。マレーシア校の設立は中国の国立大として初めてのことであり、クアラルンプール国際空港近くに最新鋭の設備を整えています。以上のように、マレーシアで研究をリードする新進気鋭の研究者と学生を迎え入れ、各々が主催する研究室単位での相互交流を進められたことは大変刺激的な経験でした。

東京理科大学葛飾キャンパス図書館前にて集合写真

 今回の交流を通じて取り組んだテーマは、「革新的エネルギー変換材料」です。近年、身の回りに存在する環境エネルギーから、マイクロワットからミリワット程度の出力ができる電気エネルギーへの変換技術に関心が集まっています。環境に存在するエネルギーを常に利用可能とすることで、社会の中で数億~数兆が利用されることが想定されるセンサーや、更には系統電源からの電力供給が不可能な環境下で用いることが想定されるモビリティ素子や生体素子等への、自立的な電源として活用することが期待されています。

 持続可能な開発目標SDGsのGoal7に向けて国内外での取り組みも活発になっています。このような背景のもと、招へい者らと受け入れ先である東京理科大学理学部応用物理学科・中嶋研究室とが共同研究で進めている圧電ポリマーの材料開発と発電応用に関する研修を行いました。

 来日直後に開催されたセミナーでは、双方の研究内容と研究課題について学生を含めたプレゼンを行いました。学内外の30名以上からなる参加者のもと、活発な質疑応答がなされました。セミナーの後には、東京理科大学葛飾キャンパス内の5学科5研究室のラボツアーを行いました。通信、生物、建築、流体、電子デバイスといった多岐にわたる分野を横断訪問し、刺激を受けるとともに、新たな共同研究の可能性を模索することができました。

東京理科大学内ラボツアーで説明を受ける参加者たち。
活発な質疑がなされていました。

 また、滞在中には一般財団法人電力中央研究所(横須賀)と一般財団法人小林理学研究所(国分寺)への訪問も行いました。電力中央研究所では、小野新平氏によるイオントロニクスに関する講演を拝聴しました。イオン液体を用いた全く新しい振動発電技術について、実際のデバイスを目の前にして体験することができました。また、電池に関する最先端の研究設備を見学することができました。

電力中央研究所にて振動発電のデモを見学。
最先端の装置や新しい発電原理に食い入るように見学をしました。

 小林理学研究所では、古川猛夫先生から圧電ポリマーに関する基礎と研究の歴史について講演をいただくとともに、児玉秀和氏、安野功修氏による圧電物性の計測と圧電トランスデューサーの応用に関する説明をいただきました。圧電ポリマーの発祥の地でもある同施設で、国際的な研究展開に結び付いた記念すべき滞在でもありました。以上の2研究所は、最先端の研究に取り組む研究者が集う施設であり、大学とは異なる雰囲気を充分に堪能できたという感想を招へい者らからいただきました。

小林理学研究所にて圧電材料のセミナーを聴講。
自身らも取り組む圧電ポリマーに関する講義がなされ、
質疑応答も活発に行われました。

 東京理科大学への滞在中は、試料の成膜、構造評価、電気的特性の評価、さらにははんだ付けを含む回路試作に至る幅広い内容に取り組みました。熱心に実験に集中していたのはもちろんのこと、実験結果に関する議論を日馬の学生間で白熱して行っていたことが強く印象に残っています。その意味で双方にとって非常に有意義な時間であったと思います。

招へい者同士でのディスカッションの様子
実験の様子。白熱した議論は止まりませんでした。

 また、今回訪問した学生らは、日本での研究に強い関心を持つきっかけとなり、博士課程でのサマープログラムやポスドクとして、今後も検討していきたいとのことでした。従来の一般的な研究助成金等では極少数の学生と研究者に限った研究交流となることが多いのですが、本プログラムのように多くの学生が最先端の技術を学び、次世代に繋がる研究課題について一緒に考えることは、極めて重要なシナジー効果を生み出すと考えられます。招へい元の教員とも継続した共同研究の重要性を再認識し、これからの展開について様々な意見交換をすることもできました。本交流をきっかけとした新たな学術共創基盤の実現に向けて、より強固かつ幅広い連携を今後も進めていきたいと考えています。

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