2019年度 活動レポート 第373号:産業医科大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第373号

産業保健をめぐる日本とインドネシア共和国との国際交流

産業医科大学からの報告

世界で唯一、働く人の健康を守る産業保健を中核にした産業医科大学では、令和2年1月26日から2月1日までの7日間、さくらサイエンスプログラムによるご支援のもと、国立インドネシア大学医学部の学生4名、大学院生6名、引率教員1名の計11名を受け入れました。

産業医科大学は産業医学の研究と産業保健の実践において、日本でも中心的な役割を果たしています。今回のプログラムでは、国立インドネシア大学の学生に対して、本学の持つ知見・経験および最新の情報を提供し、日本の産業保健体系についての理解を深めてもらうと同時に、インドネシアにおける現状を認識してもらうことを主な目的としました。

1月26日に福岡空港に降り立った一行は、慣れない寒さに驚きながらも、無事に産業医科大学に到着しました。翌日、本学学長の歓迎挨拶からプログラムがスタートしました。本学紹介の後には、一行からも、国立インドネシア大学医学部や招へい者自身およびそれぞれの研究についての紹介が行われ、相互に理解を深めることができました。

表敬訪問の様子

今回招へいした大学院生は産業医の資格を取るための研修コースに在籍しており、また医学部学生も全員が産業医学・産業保健に対する関心が非常に高いこともあったことから、日本の産業保健の歴史、産業医制度や産業保健システムについての概論から職業がんなどの職業病予防対策および職場のメンタルヘルス対策といった専門性の高い領域に至るまで幅広く研修できるプログラム構成としました。

講義の様子

また期間中には文科系サークルの国際保健研究部に所属する学生らも交えた昼食会を行い、学生同士の交流の機会を設けました。話が弾んだ様子で、自由時間には本学の学生が市内を案内する等、学生同士の楽しい時間を過ごした様子でした。

本学学生との昼食会

学外視察では、トヨタ自動車九州を訪問し、自動車の製造工程および産業保健と環境保全を合わせて考えていただく機会を提供しました。また、北九州市にある小倉城庭園や門司港地区などを見学し、日本および北九州市の文化の一端に触れていただきました。学生の皆さんは何事にも熱心な姿勢で取り組まれ、全員無事にプログラムを修了することができました。

トヨタ自動車九州株式会社見学

Purwito先生は、既に本学の教員と共同研究等を実施しており、信頼のおけるパートナーです。これまでのPurwito先生の研究活動と今回の訪問をきっかけに、国立インドネシア大学と産業医科大学との間で交流協定を締結する予定であり、現在調整を進めているところです。今後も友好的な交流関係を継続しながら、特に産業保健分野での国際共同研究についてますます推進されることを期待しながら一行をお見送りしました。

全員無事にプログラムを修了

最後になりましたが、「さくらサイエンスプログラム」のご支援のお陰で充実したプログラムを実施することができ、参加者一人一人が日本への理解を深める有意義な機会になったことと思います。改めまして、JSTの皆様に厚く御礼申し上げます。