2019年度 活動レポート 第370号:名古屋大学

2019年度活動レポート(一般公募コース)第370号

超臨界流体を用いた科学技術に関する研究交流

名古屋大学未来社会創造機構
准教授 神本 祐樹さんからの報告

さくらサイエンスプログラムの支援を受け、2020年1月19日から1月25日までの7日間、スラバヤ工科大学(Institut Teknologi Sepuluh Nopember、インドネシア共和国)から計11名(引率教員1名/博士課程学生3名・修士課程学生3名・大学生4名)を招へいし、超臨界流体技術に関する研究交流を行いました。

ASEAN地域で最大の人口を有するインドネシア共和国は、著しい経済発展を遂げていますが、その経済発展は一部の都市に集中してます。送出し機関であるスラバヤ工科大学が位置するスラバヤ(ジャワ島)はインドネシア第二の都市ですが、環境技術の未整備により水質汚染や土壌汚染が深刻化しています。送出し機関とは、これまで水や薬剤を低減できる洗浄や抽出技術として超臨界流体を用いた技術について共同研究を行なっており、後藤教授と神本が教育を担当している工学研究科とは学術交流協定を締結しています。本交流は、名古屋大学とスラバヤ工科大学の学術交流をさらに発展させるために実施しました。

講義・実験

受入れ機関担当者である後藤元信教授から超臨界技術に関する講義と、本学の客員教授でもある超臨界技術センター株式会社の田中様からは超臨界技術の産業応用(超臨界流体を用いたコーヒーからのカフェイン抽出)についての講義を行いました。

講義後の集合写真

スラバヤはコーヒーの産地として知られていることから、コーヒーからの超臨界流体技術を用いたカフェインの抽出(デカフェコーヒー)について試みました。各種分析装置を用いてカフェインのマテリアルバランスの分析や表面観察による超臨界流体抽出プロセスの被抽出体に対する影響についても検討を行いました。

実験の様子

見学

トヨタ産業技術記念館では、世界最大級の企業に成長したトヨタ自動車の歴史を学び、社会課題に対するイノベーションの重要性と工学としての社会課題への取り組み方について考えました。自身のよく知る自動車会社の発展が自動織機から興り、自動車産業に変遷した歴史は非常に興味深い様でした。

トヨタ産業技術記念館の見学

本研究交流プログラムでは、スラバヤ工科大学に日本への留学に強い関心を持つ学生を学内で公募・選考していただき、招へいしました。今回の来日をきっかけに、日本の実際の生活に触れることで日本への興味を深め、日本への留学と就学について強い関心と大きなきっかけを与えられたと感じました。帰国後は、勉学と研究に励んでいるようです。実験を指導した本学学生も、英語によるコミュニケーション能力の向上と異なる文化や社会を学ぶことによる国際感覚の醸成を促進する良い機会になりました。本研究交流プログラムの実施により、ASEANと日本の若手研究者のネットワークが構築され、アジアの将来を担うグローバル人材の育成につなげることができました。

最終成果報告会

このような貴重な機会をいただけたことに、「さくらサイエンスプログラム」ならびに関係者の皆様に深く感謝いたします。

記念写真