2019年度 活動レポート 第367号:札幌開成中等教育学校

2019年度活動レポート(一般公募コース)第367号

アジアの若者が北海道で育む科学技術の未来

札幌開成中等教育学校からの報告

タイのPrincess Chulabhorn Science High School Phitsanulokから生徒6名(うち1名は自己負担)・教員2名(うち1名は自己負担)、ベトナムのTrần Đại Nghĩa High School For The Giftedから生徒4名・教員1名、中国の海南省海南中学から生徒4名(うち2名は自己負担)・教員1名、台湾の国立台湾師範大学付属高級中学から生徒2名、教員1名を招へいし、2019年7月31日~8月6日の7日間、5ヶ国の高校生が北海道の自然とそれに関わるサイエンスの学習や、世界最先端レベルの研究機関への訪問、ワークショップ等を通じ、将来日本社会に貢献するアジアの優秀な人材と世界で活躍する日本人科学者を育む機会を設けました。また、昨年に引き続き、SSH校である茨城県清真学園高等学校の生徒とも合流し、首都圏の高校生との交流も可能としました。

昭和新山での研修にて

第1日目 7月31日(水)

新千歳空港集合→日本製鋼所室蘭製作所見学→夜ゼミ:イカ墨を使った太陽光発電(北海道教育大学教授・松浦俊彦氏)→スワップミート

第2日目 8月1日(木)

昭和新山見学・三恵病院(有珠山噴火遺構公園)見学→札幌市防災センター→本校到着→ホームステイオリエンテーション

第3日目 8月2日(金)

細胞折り紙に関する講義(北海道大学新渡戸カレッジ特任教授繁富香織氏)→Integrated Science Program (ISP)プログラム紹介→研究室訪問

第4日目 8月3日(土)

グループワーク→発表→パラシュート作成→昼食(そうめんづくり)→パラシュート試技2回目・表彰→部活動体験(茶道部)

第5日目 8月4日(日)

ホストファミリーと過ごす

第6日目 8月5日(月)

札幌市青少年科学館見学→科学的モデルの構築と検証方法(ワークショップ、大阪教育大学科学教育センター教授仲矢史雄氏)→電子顕微鏡講義・実演(日立ハイテク濱敦司氏)

第7日目 8月6日(火)

帰国

今年度は初日の宿泊先である室蘭のホテルでスワップミートを行うこととしたので、本校生徒の参加数は昨年度の倍となりました。

2日目の有珠研修は、本校がSSH指定以前から学校設定科目「地学野外観察」で行っているコース・内容を海外の生徒向けにアレンジしたものです。火山や地震のない海外の生徒が初めて目にする火山であり、その活動によって起こる地殻変動にも大変驚いていました。また、午後の札幌市民防災センターでは模擬地震体験ができました。午前中に学んだ地震について実際に体験することができ理解が深まっていました。

防災体験での一コマ

3日目の午前は、北海道大学での「細胞折り紙に関する講義」(2013年 「世界で注目すべき女性研究者25人」にアジアから唯一選出された北海道大学新渡戸カレッジ特任教授繁富香織氏)と大学院生による研究の紹介、北海道大学国際連携機構において一昨年度10月より始まった留学生プログラムIntegrated Science Programの説明を行いました。午後は、タイ、ベトナム、中国、台湾、茨城県清真学園高等学校、本校生徒(バディ生徒・希望者)を3つのグループに分け、研究室訪問を行いました(研機構北海道農業研究センター訪問グループは午前から研究室訪問)。

4日目午前は、本校で前日の研究室訪問で得られた知見を他のグループと共有するための発表を行いました。短い時間ではありましたが、PCや手書きの図などを上手に用いてわかりやすく発表を行いました。その後、「ゆっくり正確に着地するパラシュート大会」を行いました。各チームとも事前準備をしっかりと行ってきたため6チームが接戦になり、大いに盛り上がりました。

見学内容の口頭発表
パラシュートの作成風景

6日目午前は北海道青少年科学館訪問、午後は、大阪教育大学仲矢史雄教授による、教材「Black Box」を使った「科学的モデルの構築と検証方法」のワークショップを行いました。その後、日立ハイテクの濱敦司氏による卓上型電子顕微鏡を使った実習を行い、すべてのプログラムを終了し、翌日帰国の途につきました。

ワークショップでの発表の様子

今回招へいした国立台湾師範大学附属高級中学とは、3月に本校で行うSSH研究成果報告会においてオンラインで課題研究の相互発表を行う予定となっています。この7日間の濃密な経験が、将来日本社会に貢献するアジアの優秀な人材の確保に役立つことを心から願う次第です。

最後に、参加した生徒だけでなくこのプランに携わった教員にとっても大変意義のある7日間でしたので、次年度以降も改良を重ね申請を続けていきたいと思います。